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New Arrivals: 2021/05/18

例年になく早い梅雨入りとなりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

本日は先日入荷した新刊をご紹介いたします。

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Saturated Light by Wolfgang Tillmans



昨年行われた、新型コロナウイルスの影響下にある文化施設を支援するためのキャンペーン、「2020Solidarity」も記憶に新しい、写真家のウォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)による作品集です。

本書は、ティルマンスが30年近くに渡り取り組んでいる抽象写真作品シリーズ、『Silver』に焦点を当てています。あまりにも抽象的で、初めて見る方はこれが写真だとは思わないのではないでしょうか。本作は実際にカメラを使った撮影は行わずに、暗室で光や感光乳剤を用いて印画紙を直接露光させて制作されています。カメラを使わずに写真を暗室で制作する伝統的技法をより大胆に拡張したこの実験の数々が、のちの世代に与えたインパクトは計り知れません。

抽象写真は抽象絵画に比べてより化学的/光学的側面が強く、また僕たちは写真=記録物という前提を持っているため、時に何も映っていない写真の中にも景色や何らかのイメージを見てしまうという錯覚を利用している(?)ところも面白いです。

ティルマンスに興味を持った方にはこちらの作品集「Today Is The First Day」もオススメです。写真家としての活動にとどまらず、舞台監督、ミュージシャン、アクティビストとして、社会と芸術に対して真摯に向き合い続ける作家としてのティルマンス像が浮かび上がります。大ボリュームかつ、お値段もお手頃なのも嬉しいです。

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Außenprojekte / Projects For Outside by Isa Genzken



こちらはドイツ人アーティスト、イサ・ゲンツケン(Isa Genzken)による作品集です。

ゲンツケンはハンブルグとベルリンの大学で美術を学び、その後ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)やゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)、ベルント&ヒラ・ベッヒャー(Bernd and Hilla Becher)、ベンジャミン・ブクロー(Benjamin H. D. Buchloh)らが教鞭をとるデュッセルドルフ芸術アカデミーに進みました。ミニマルな作風でデビューしましたが、のちに様々なメディアを使用した力強い作風へと変化します。

本書は屋外で展開されてきたゲンツケンの彫刻作品、全42作を包括的に紹介。実際の制作以前の段階に行われるスケッチやコラージュ、図面に加え、作品が設置された際の記録写真も豊富に収録しています。

実はゲンツケンとティルマンスは交流があり、2001年にはドイツのケルンに位置するルートヴィヒ美術館で協同のインスタレーション作品を制作しています。肩書きは違えど、両者の社会に対する姿勢やスケール感は、どこか通じるものを感じさせますね。彫刻という枠組みを超え、芸術作品を通して社会との対話を試みる作家の姿を是非ご覧ください。

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Assemblage 6, Unlearning by Faye Toogood

イギリス人アーティスト/デザイナーであり、ファッションブランド「Toogood」の共同設立者であるフェイ・トゥーグッド(Faye Toogood)による作品集です。



本書はワイヤーやボール紙、テープ、キャンバスなど、トゥーグッドのスタジオにある日常的な素材を使い制作された約300点の椅子やランプ、スツール、ソファーベッドなどの模型が収録されています。実際の作品が完成するまでにどのようなアイディアが生まれ、そして取捨選択の末に手放されているのか。本書では最も純粋な形で受肉化したアイディアの数々と、作家の舞台裏の試行錯誤の痕跡を追うことができます。

シンプルに、ページをめくっているだけで面白いというのがまず最初に抱いた感想でした。最終的に形になった作品が全てなのか、それともコンセプトやそれまでのプロセスが作品なのかを問われている気もします。アイディア・ソースとしてもいい一冊です。

プロセスという点ではオスロを拠点に活動するスヴェイン・ファンナー・ヨハンソン(Sveinn Fannar Jóhannsson)の作品集を、そしてオブジェとしてはどこかサイ・トゥオンブリー(Cy Twombly)の彫刻にも似たものを感じました。

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Multiples, Inc. 1965-1992



「Multiples, Inc.」は、現在ギャラリストとして Marian Goodman Galleryを営むマリアン・グッドマン(Marian Goodman)を含む5人によって1965年に設立された美術出版社であり、1966年から1992年に解散する30年近くもの間、20世紀で最も重要なアーティストたちのエディションを出版し、アート界に大きな影響を与え続けた。本書はニューヨークの「Marian Goodman Gallery」で開催された展覧会『MULTIPLES, INC. Artists & Photographs』に伴い刊行されました。

「作品としての作品集」という考え方やアーティストブックに興味がある方には大変オススメな一冊となっております。こちらに関しては機会があればまた別記事でもご紹介したいと思います。

「1960年代はマルチプル作品の時代であった。芸術作品は唯一無二のものではなく、新しい素材や現代の製造技術を用いて作られた複数のエディションが存在するものと考えられていた。エディション出版は芸術作品の低価格かつ民主的な流通を可能にし、アート界で今起きてることをより広くオーディエンスに伝えることができるようになった。1960年代にアメリカやヨーロッパから登場した多くの出版社の全てが活動を長期的に続けたわけではなかったが、「Multiples, Inc.」は新しいメディアの勃興期を生き残り、1970年代、1980年代と益々多くのエディションを生み出していった。本書では「Multiples, Inc.」が出版した全エディションの完全リストに加え、その長い歴史を示す多数の資料を収録。編集とテキストをスイス人キュレーターのディーター・シュワルツ(Dieter Schwarz)が担当している。」ー(ディストリビューター解説より抜粋)

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以上新入荷タイトルとなります。それぞれ異なる魅力のある作品集となっておりますので、ぜひお楽しみください。

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