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May The Circle Remain Unbroken by Corrine Day
¥55,000
イギリス人写真家、コリーヌ・デイによる写真集。 コリーヌ・デイの写真は、ファッションとドキュメンタリーの双方にまたがる次世代のイメージメーカーたちに大きな影響を与えてきた。自身の生活や人間関係を、写実的なスナップショットの美学によって率直に記録したその写真は、ファッションの華やかさの背後にある若者文化を捉え、虚構化や覗き見的な視線を避けながら独自のリアリティを示している。 1993年に「Vogue」に掲載されたケイト・モスの写真によって物議を醸し、いわゆる「グランジ」ファッション写真の先駆者として知られるようになった一方で、一時は主流のファッションメディアから距離を置かれることとなった。その後デイは再びファッションとアートの世界へと戻り、作品は世界各地のギャラリーや美術館で展示・収蔵されている。2010年8月に逝去したデイの没後初の書籍となる本書では、これまで未発表であった初期作品群を通して、この写真家の重要な仕事をあらためて紹介している。 グレン・オブライエンによるテキストを収録。パブロ・フェロによるカバーフォント・デザイン。 1000部限定。コンタクトシートが付属。 - Title: May The Circle Remain UnbrokenArtist: Corinne DayText: Glenn O’BrienPublisher: Morel BooksFormat: HardcoverSize: 254 × 203.2 mmPages: 164Language: EnglishEdition: Limited edition of 1000 copiesISBN: 978-1907071331 Condition: Good/表紙全体に染み、経年並みのやけはあるが全体的に美品。
Nigel Shafran Books 1995 - 2022 2022年5月28日(土)- 6月12日(日) この度IACKは、イギリス人写真家のナイジェル・シャフランによる作品集展、「Nigel Shafran: Books 1995 - 2022 」を開催いたします。ナイジェル・シャフランは、1980年代後半にヨーガン・テラーやコリーヌ・デイ、デイヴィット・シムズらとともにロンドンの「i-D」、「THE FACE」、「Dazed & Confused」などのファッション/カルチャー誌で活躍した写真家として知られています。1995年に自費出版した作品集『Ruthbook』は写真作家としてのキャリアを本格的にスタートするきっかけとなったのみならず、パートナーとの関係性を題材にした名作として、写真集の歴史にもその名を深く刻みました。日々の生活の中で見過ごしてしまいそうな物事への鋭い視線と、遊び心に溢れたユーモラスな写真は、写真作家として、そしてファッション写真家として多くのファンを獲得してきました。「Nigel Shafran: Books 1995 - 2022 」と題した本展では、シャフラン氏が今日までに制作してきた全作品集に加え、展示カタログをはじめとした関連資料も合わせて展示いたします。今年5月に日本国内でも発売となる最新作『The Well』は、氏がおよそ30年間にわたり取り組んできたコマーシャル写真をまとめた初の作品集であり、同じく長年取り組んできたパーソナルワークとの関連性を探る意欲作です。本展は入手困難な代表作を手に取ることができるだけでなく、パーソナルワークとコマーシャルワークの相関関係に着目した最新刊をより深く読み込むためのガイドとなり、キャリアを通して一貫した作家の姿勢に触れられるまたとない機会となるでしょう。会場では最新刊『The Well』に加え、本展のために特別に用意されたサイン本、そして韓国のギャラリー「N/A」で開催中の個展に合わせて制作された限定ポスターの販売も行います。この機会にどうぞご高覧ください。Nigel Shafran: Books 1995 - 2022会期:2022年5月28日(土) - 6月12日(日)*第一週は水曜木曜、第二週は月曜火曜定休営業時間:平日12:00-17:30/土日祝12:00-19:00会場:IACK問い合わせ:info (at) iack.studio*ご来場における注意事項ご体調の優れない方はご来場をご遠慮ください。また、ご来場の際はマスクの着用、ならびに入店時の手指の消毒にご協力をお願いいたします。以上をお守りいただけない方はご入店をご遠慮いただく場合がございます。何卒ご了承ください。-ナイジェル・シャフラン/Nigel Shafran1964年、イギリス生まれ。1980年代後半よりヨーガン・テラーやコリーヌ・デイ、デイヴィット・シムズらとともにロンドンの「i-D」、「THE FACE」、「Dazed & Confused」などのファッション/カルチャー誌で活躍し、次世代の写真家として注目を集める。1995年に自費出版した作品集『Ruthbook』は写真作家としてのキャリアを本格的にスタートするきっかけとなったのみならず、パートナーとの関係性を題材にした名作として、写真集の歴史にもその名を深く刻んだ。日々の暮らしの中で見過ごしてしまいそうな物事への鋭い視線と遊び心に溢れた写真は、写真作家として、そしてファッション写真家として多くのファンを獲得している。nigelshafran.comインタビュー記事:Artist Interview: Nigel Shafran (Photographer)www.iack.online/pages/artist-interview-nigel-shafran-photographerTitle: The WellArtist: Nigel ShafranLoose Joints, 2022Softcover, 200 x 267 mm376 pagesText...
イギリス出身の写真家、ナイジェル・シャフランは、1980年代後半にヨーガン・テラーやコリーヌ・デイ、デイヴィット・シムズらとともにロンドンの『i-D』、『THE FACE』、『Dazed & Confused』誌などで活躍した写真家の一人である。現在ではファッションフォトグラファーというよりは、ギャラリーや美術館で展示を行う写真家として認知されている。1995年に自費出版したパートナーのルースとの生活を記録した写真集『Ruthbook』は、彼のキャリアのターニングポイントとなっただけでなく、写真家と被写体の関係性を捉えた名作として写真集の歴史にもその名を深く刻んだ。そして2016年、MACKから自身8冊目となる写真集『Dark Rooms』が出版された。本書は『Ruthbook』や、同じくパートナーを題材に制作された『Ruth on the phone』のようにひとつのシリーズから構成された一冊ではなく、シャフランが2005年から取り組んでいた未出版の5つのシリーズを中心に構成されている。スーパーのレジのコンベア上を流れる商品を撮影した「Supermarket checkouts」、エスカレーターを降りる人々を横からの目線でとらえた「Paddington escalators」、どこか物悲しさを感じさせる介護用品ショップのシリーズの「Mobility shops」、母親が自宅で制作していた作品を撮影した「Mother’s work」、そして自宅の台所に積み上げられた空の容器を写したシリーズ「Packages」。これらの一見脈絡のないシリーズの要所要所に自宅の風景を差し込みながら、本書は淡々と展開される。本作が過去のものとは異なり、極めて光の少ない場所で撮影された写真を多く採用している点に気がつくであろう。本書の制作中にシャフランは両親を立て続けに亡くしており、その出来事が『Dark Rooms』に大きな影を落としているということは本人も認める通りである。一体その出来事とこれらの5つのシリーズ作品はどのような関係性にあるというのだろうか。 本書は、2004年に出版されたモノグラフ『Edited Photographs 1992-2004』の続編とみなすことも可能かもしれない。パートナーとの生活や息子の誕生を受けて編まれた『Edited Photographs1992-2004』と、家族の喪失を受けて編まれた『Dark Rooms』。しかし、一見似た体裁をとった2冊の相違はその内容のみにとどまらない。 「シークエンス(順序)」という言葉は、シャフランが自身の作品について語る際に最も頻繁に口にする言葉のひとつである。写真をもとの文脈から抜き取り順序付けることで効果的にみせること、そしてそれを一冊の本で行うこと。それこそが『Ruthbook』での彼の発見であった。本書では、直接的に類似性を指摘するような配置や端的な構成は取っておらず、むしろ各シリーズを独立したものとしても鑑賞できるよう、各シリーズのシークエンスはほとんど崩されていない。ここでは写真単位のシークエンス付けとシリーズ単位のシークエンス付けが同時に行われており、シリーズとしての独立性は保ちつつも、『Dark Rooms』というひとつの新たな作品へと昇華させるという異質かつ大胆ともいえる試みがなされている。各シリーズの独立性と優位性を保ちつつ編集するモノグラフ的構造と、そこに別の視点を与えることで新たな作品へと昇華する構造。この入れ子構造は、『Dark Rooms』という作品にある種の語りづらさをもたらす。本書がどのような一冊かを説明する際に「5つの未出版のシリーズを収録した一冊」と言った途端モノグラフの構造にとらわれるし、一度モノグラフという言葉にとらわれたが最後、これがひとつの新しい作品であるとは捉えづらくなってしまう。この構造はこの本から徹底的に一貫した物語性、あるいはドラマ性の排除を行っているのだ。このドラマ性の拒絶はナイジェル・シャフランという写真家が日常に潜む非日常性、我々が享受している日常風景のある種の不気味さ、不格好さを個人的な視点から捉える写真家であり、「日常性」や肩肘を張らない「さりげなさ」が作品において重要な要素であるという点からも当然の帰結として考えられよう。ここではむしろ喪失を世の定め、生の一部として受け止めた上で前に進もうとする写真家の姿が浮かび上がってくる。いまならば断片的に思えた5つのシリーズにも関連性が見えてこよう。運ばれるということ、進んでいく時間、老いゆく定め、かつてあった存在、役割を失ったモノたち。そこでは淡々と、時と絡み合ったこの世の様が描写されている。 本書の冒頭には小さく、 “For my family, past, and present(家族、過去、そして現在に捧ぐ)” と記されており、そこに未来を表す “future”という言葉は見当たらない。写真家の取り組みとは現在から静止した時間(過去)へと接続することであり、その姿は、シャフランが本作を制作するにあたってのもうひとつの影響源として名を挙げる1946年公開のイギリス映画『A Matter of Life and Death(天国への階段)』で、天国の使者が自在に時を止めて現世へと関与するさまと酷似している。しかしここで決定的に異なるのは、天界の使者が静止した時間に関与することができるのに対し、我々にはそうすることは許されていないという事実だ。我々に可能なのは、写真という欠片を介して過去へと接続しながら、その中にでもなく未来にでもなく、現在の中にこそ光を見いだすということである。本書は部屋で眠る息子のレヴの写真と、日常の象徴である自転車の写真で幕を閉じる。シャフランが暗い部屋の中で何を見たのかは、明白であろう。それこそが『Dark Rooms』という作品を包み込む静かな力強さなのであり、彼にとっての写真のあり方なのだ。突飛な手段を取るわけでもイメージと戯れるわけでもなく、伝統的な構造を用いつつ同時にさらなる昇華を模索した本書は、現代における写真集というメディアの新たな在り方を提示しているのかもしれない。(This article was originally published on 22nd February 2017) -Title: Dark RoomsArtist: Nigel ShafranMACK, 2016Hardcover,...
Book Review: Dark Rooms by Nigel Shafran
イギリス出身の写真家、ナイジェル・シャフランは、1980年代後半にヨーガン・テラーやコリーヌ・デイ、デイヴィット・シムズらとともにロンドンの『i-D』、『THE FACE』、『Dazed & Confused』誌などで活躍した写真家の一人である。現在ではファッションフォトグラファーというよりは、ギャラリーや美術館で展示を行う写真家として認知されている。1995年に自費出版したパートナーのルースとの生活を記録した写真集『Ruthbook』は、彼のキャリアのターニングポイントとなっただけでなく、写真家と被写体の関係性を捉えた名作として写真集の歴史にもその名を深く刻んだ。そして2016年、MACKから自身8冊目となる写真集『Dark Rooms』が出版された。本書は『Ruthbook』や、同じくパートナーを題材に制作された『Ruth on the phone』のようにひとつのシリーズから構成された一冊ではなく、シャフランが2005年から取り組んでいた未出版の5つのシリーズを中心に構成されている。スーパーのレジのコンベア上を流れる商品を撮影した「Supermarket checkouts」、エスカレーターを降りる人々を横からの目線でとらえた「Paddington escalators」、どこか物悲しさを感じさせる介護用品ショップのシリーズの「Mobility shops」、母親が自宅で制作していた作品を撮影した「Mother’s work」、そして自宅の台所に積み上げられた空の容器を写したシリーズ「Packages」。これらの一見脈絡のないシリーズの要所要所に自宅の風景を差し込みながら、本書は淡々と展開される。本作が過去のものとは異なり、極めて光の少ない場所で撮影された写真を多く採用している点に気がつくであろう。本書の制作中にシャフランは両親を立て続けに亡くしており、その出来事が『Dark Rooms』に大きな影を落としているということは本人も認める通りである。一体その出来事とこれらの5つのシリーズ作品はどのような関係性にあるというのだろうか。 本書は、2004年に出版されたモノグラフ『Edited Photographs 1992-2004』の続編とみなすことも可能かもしれない。パートナーとの生活や息子の誕生を受けて編まれた『Edited Photographs1992-2004』と、家族の喪失を受けて編まれた『Dark Rooms』。しかし、一見似た体裁をとった2冊の相違はその内容のみにとどまらない。 「シークエンス(順序)」という言葉は、シャフランが自身の作品について語る際に最も頻繁に口にする言葉のひとつである。写真をもとの文脈から抜き取り順序付けることで効果的にみせること、そしてそれを一冊の本で行うこと。それこそが『Ruthbook』での彼の発見であった。本書では、直接的に類似性を指摘するような配置や端的な構成は取っておらず、むしろ各シリーズを独立したものとしても鑑賞できるよう、各シリーズのシークエンスはほとんど崩されていない。ここでは写真単位のシークエンス付けとシリーズ単位のシークエンス付けが同時に行われており、シリーズとしての独立性は保ちつつも、『Dark Rooms』というひとつの新たな作品へと昇華させるという異質かつ大胆ともいえる試みがなされている。各シリーズの独立性と優位性を保ちつつ編集するモノグラフ的構造と、そこに別の視点を与えることで新たな作品へと昇華する構造。この入れ子構造は、『Dark Rooms』という作品にある種の語りづらさをもたらす。本書がどのような一冊かを説明する際に「5つの未出版のシリーズを収録した一冊」と言った途端モノグラフの構造にとらわれるし、一度モノグラフという言葉にとらわれたが最後、これがひとつの新しい作品であるとは捉えづらくなってしまう。この構造はこの本から徹底的に一貫した物語性、あるいはドラマ性の排除を行っているのだ。このドラマ性の拒絶はナイジェル・シャフランという写真家が日常に潜む非日常性、我々が享受している日常風景のある種の不気味さ、不格好さを個人的な視点から捉える写真家であり、「日常性」や肩肘を張らない「さりげなさ」が作品において重要な要素であるという点からも当然の帰結として考えられよう。ここではむしろ喪失を世の定め、生の一部として受け止めた上で前に進もうとする写真家の姿が浮かび上がってくる。いまならば断片的に思えた5つのシリーズにも関連性が見えてこよう。運ばれるということ、進んでいく時間、老いゆく定め、かつてあった存在、役割を失ったモノたち。そこでは淡々と、時と絡み合ったこの世の様が描写されている。 本書の冒頭には小さく、 “For my family, past, and present(家族、過去、そして現在に捧ぐ)” と記されており、そこに未来を表す “future”という言葉は見当たらない。写真家の取り組みとは現在から静止した時間(過去)へと接続することであり、その姿は、シャフランが本作を制作するにあたってのもうひとつの影響源として名を挙げる1946年公開のイギリス映画『A Matter of Life and Death(天国への階段)』で、天国の使者が自在に時を止めて現世へと関与するさまと酷似している。しかしここで決定的に異なるのは、天界の使者が静止した時間に関与することができるのに対し、我々にはそうすることは許されていないという事実だ。我々に可能なのは、写真という欠片を介して過去へと接続しながら、その中にでもなく未来にでもなく、現在の中にこそ光を見いだすということである。本書は部屋で眠る息子のレヴの写真と、日常の象徴である自転車の写真で幕を閉じる。シャフランが暗い部屋の中で何を見たのかは、明白であろう。それこそが『Dark Rooms』という作品を包み込む静かな力強さなのであり、彼にとっての写真のあり方なのだ。突飛な手段を取るわけでもイメージと戯れるわけでもなく、伝統的な構造を用いつつ同時にさらなる昇華を模索した本書は、現代における写真集というメディアの新たな在り方を提示しているのかもしれない。(This article was originally published on 22nd February 2017) -Title: Dark RoomsArtist: Nigel ShafranMACK, 2016Hardcover,...
Artist Interview: Nigel Shafran (Photographer)
*Click here to read in English ─ まずは今回出版された新刊、『The Well』についてお話をお聞かせください。ファッション写真の分野で活動を始めておよそ30年がたちますが、本作はナイジェルさんの10冊目の作品集にして、初めてその長期間にわたる仕事を振り返る作品集です。本書を出版することになった経緯と、なぜこのタイミングでコマーシャルワークをまとめた本を出版することになったのかを教えてください。私がコマーシャルの分野で撮影を始めたのは30年か、おそらく35年ほど前でしょうか。『The Well』のアイディアは、この本のデザイナーのリンダ・ファン・ドゥールセンの提案から生まれました。彼女はブックデザイナーという肩書以上の存在で、本書の制作においても本当にうまく私を駆り立てました。というのも、私はこれまで仕事として撮影した写真とパーソナルワークはある意味別物として捉えていたので、最初に話を聞いた時は「私の目が黒いうちはそんなことは絶対にやらせない!」と思いました(笑)。でもこの本を制作した今は、すべてがつながっていると考えることができるようになりました。本書に収録されているのは、いわゆるファッション写真ばかりではないと思うのです。後期の作品に関しては近年の商業的なファッション写真ですが、初期の作品のほとんどは、私がかつてアシスタントとして働いていたようなファッション写真や、もっと若い頃にやっていたことに対する反発として制作されたものです。街行く人たちのスナップ写真であったり、ファッション写真やさまざまなスタイルに接続し得る作品であっても、必ずしもファッションモデルやそういう人たちを撮影しているわけではないのです。なので、それらのふたつの写真は何らかの形で繋がっているのです。─ まさに今おっしゃられたように、本書は単にコマーシャル分野での業績をまとめた作品集ではなく、あなたのファッション写真と作家としての写真を接続する意図がさまざまな点からも見て取れます。例えば、この本を出版したのはレトロスペクティブなカタログを制作する大手出版社ではなく、より作品性の高いアートブックを制作するロンドンの独立系出版社「Loose Joints」であり、(出版前の)現時点で本書のメインヴィジュアルとして使用されている写真が、あなたの最もよく知られた写真のひとつである、キッチンで椅子に腰掛けた奥さんのルースさんの写真と同じ構図で撮影されたものであることからも、その意図がうかがえます。その繋がりに意識的になったのがごく最近のことだというのは面白いですね。おそらく、一方は他方に対する反動なのでしょう。あるいはそれらは互いに補完しあっているのかもしれません。私たちは大富豪として生まれない限り、生活費を稼がないといけません。そしてそれはいつも大きな問題として私たちの身にのしかかります。一部の写真家たちは写真を仕事として教えたり、あるいは運が良ければプリントを売ることで生き抜いていくことができます。一方で他の写真家たちは、全く別の仕事で生計を立てながら作品制作をしています。昔に比べて、今は商業的な分野で働くことがより受け入れられるようになっていると思います。しかし私はそこに深く携わっているがゆえに、過剰消費の一部として女性がどのように描かれるか、ということをはじめとした産業的な問題…問題とまでは言わずとも、課題を常に抱えています。─ だからあなたのファッション写真は過剰に演出されていないのでしょうか。つまり、パーソナルワークとは分けてファッション写真らしく演出することもできると思いますが、それはあまり表面的には現れておらず、パーソナルワークと同じような質感で統一されています。最近の写真の中には、よりプランに沿って撮影されたものもありますが、いずれにせよあまり演出されたように見えないといいですね。近年行っているファッション写真の撮影では、頭の中にあるたくさんのアイディアやドローイングをもとに、それらを再現することもあります。そして最近では、もし幸運にも自分が写真家として多くのオーディエンスを持つのなら、異なる題材に関する自分の考えを作品に盛り込むことができるかもしれない、とも考えるようにもなりました。政治とまでは言いませんが、ごくごく小さなことであれば、政治的なこともあるでしょう。また、ファッションモデルや被写体たちのことは物としてではなく、また過度に性的でもないように撮影するように心がけています。 Above: spread from "Ruthbook" (Self published, 1995) / Below: spread from "The Well" (Loose Joints, 2022)─ 理解できました。あなたは1995年に自費出版した作品集『Ruthbook』をきっかけに、より本格的に作家活動に専念し始めます。しかしそれ以前のプロジェクトにも、あなたの身近な環境や周囲に対するそのような個人的な視線は既に現れていたように思います。もっと早くに他のプロジェクトを写真集としてまとめることもできたと思いますが、なぜこの極めて個人的な作品を最初の本として出版しようと考えたのでしょうか。おそらく、あの作品が当時の私の作品の中でもっとも感情的だったからであり、そして人生は一度きりだと思ったからです。ある種セラピーのような意味もあるのかもしれません。私は人生で最も重要な写真は、家族のスナップショットだと思っています。ある意味、私は自分のことをとても優秀なプロの家族写真家であると感じています。そうあることはとても幸せなことです。あるいは大判カメラを持ったスナップショット写真家 ─ これはいいフレーズですね、気に入りました(笑)。前にも言ったことがあると思いますが、私にとって重要なことは自分の目の前にあるものごとで、そしてそれを可能な限りはっきりと目を凝らして見ることです。それはいつでも容易なわけではありません。─ そのような個人的な写真を作品として発表すること、また個人的であること自体に当時何か批評的な意味があったと思いますか?それは分かりません。それが私のやっていることですから。私はよく学生たちに「とにかくやってみろ」と言います。その時々に撮影をして、それを編集したり、その写真を使ったり、出版したりしなかったり。何もしなければ何も生まれません。とてもシンプルな話だと思います。物事について時間をかけて考えることもあれば、働く時もあるし、日々の仕事をするときもある。いろいろな作品を見ることもあれば、昔の巨匠の絵画を見る時もあるし、レシートと向かい合って計算をすることもある。だから、どう答えたらいいのかわかりません。その時代には有効だったのかもしれないし、そうではなかったのかもしれない。私は自分の作品についてあれこれと語りすぎることで、イメージを凝り固めたくないのです。私はむしろ、なんというか…作品について語ることが仕事の人は他にもいます。キュレーターたちは今何が面白いかを見極めることができる人たちであり、過去から現在までを見渡した上で何が興味深いかを選択します。ですが、私は自分の作品が人々に影響を与えるまま、自由にさせておくという考え方が好きなんだと思います。近年世界に溢れかえっている多くの写真とともに、そのように存在する自分の作品が好きなんです。─『Ruthbook』以降、あなたは本を重要な作品形態として今日まで制作を続けてきました。展示などの発表形態もある中で、本というフォーマットの何があなたをそこまで惹きつけるのでしょうか。写真集は、写真の見せ方という点において最も効果的な方法だと思います。シークエンスや編集を通して作品の見え方をコントロールできますからね。ノートパソコンみたいに電気を必要としないし、手頃な価格で見てもらえます。それに、いつ見るかも自由です。だからわざわざ展覧会を開く必要もありません。展覧会は一度終わってしまえばもう見ることはできません。それに展覧会を開催するには膨大なエネルギーが必要で、そして終わればそれもなくなってしまう。その違いは、本で写真をみた時と画面上で写真をみた時にも現れますよね。コンピューターの画面も当然作品を見る場所ではあると思いますが、私にとっては写真を見る一番好みの場所というわけではありません。写真集は実際に手に持ったり、所有したり、気に入ったり気に入らなかったりする、三次元の物体です。それはまた、よりゆっくりとした時間の流れを持っている気もするのです。スクリーンよりは本のほうがより集中力も保てる気がしますし、実際私はこれまで画面上で写真を長時間見た経験がないように思います。なぜかは分かりませんし正確には少し違うかもしれませんが、おそらく私たちが皆、機械をとても素早く使うことに慣れてしまっているからではないかと思います。それに、私はいささかコントロール狂の節があります。写真集であれば素材から印刷、シークエンスの全てをコントロールできますし、それらは作品制作において全て等しくとても重要なことなのです。─ それはあなたが自費出版を好む理由でもあるのでしょうか。そうですね。だけど自分でやるといつも何かしら失敗してしまいます(笑)。とはいえ、私がこれまでに自費出版したのは…。─(画面でシャフラン氏の自費出版作品集を見せる)その本はどこで手に入れましたか?─『Ruthbook』ですか?確か以前ebayで購入しました。その本はもともと7.50ポンドだったんですよ。自転車に乗って本屋に営業して回ったのを覚えています。全財産を良い紙に費やしました。そしてカバーには…あ!タイトルの文字を見てください。 ─ 表紙のタイトルは一冊一冊あなた自身の手で書かれています。はい、一本の鉛筆で全部にタイトルを書き入れました。多分まだその4B鉛筆がこの暗室のどこかにあると思います。タイトルは何らかの理由で一単語の『Ruthbook』です。なんで一語にしたのかはわかりません。今でもそれと全く同じように書けますよ。一文字一文字こだわった書き方をしていたのを覚えています。「Book」は大きなゼロと小さなゼロの組み合わせですが…なぜでしょうね。当時目にしていた他の作品に対する反動のようなものもあるのかもしれません。私はいつも半分くらい自分が何をやっているのか自分でわかっていません。90%は何をやっているのかわからない。─ そして後になってからわかるのですね。おそらくね。 制作におけるマスタープランなんてないのです。Spread from "Ruthbook" (Self published, 1995)─ シークエンスについてもう少しお話を聞かせてください。あなたは過去のインタビューでシークエンスのことを「感情の波」のようなものであると表現していました。写真の配置によって生じるその効果に気がついたのは、どのようなきっかけからなのでしょうか。それはあなたが雑誌上で写真を構成する過程で培われたのですか?そのことについてもあまり深く考えないようにしています。私は考えに基づいて決めるよりも、組み上げたシークエンスを見ながら決める方がずっと性に合っているのです。なのでそれは考えることによってではなく、写真を動きの中に配置して、成立するかどうかで判断しているんです。私の知人の中にはテレビを見ながらやるのが好きだという人もいます(笑)。また、制作したダミーブックを友人や尊敬している人たちに見せて、その反応からシークエンスがうまく機能しているかを見ていたこともあります。彼らから自分がそのシークエンスを見た時と同じ反応が返ってきたら、それはおそらくうまく機能していると判断しました。私はおそらく人々に ─ 反応という言葉が正しいかわかりませんが ─ 自分が抱いたような感情的な反応を求めているのだと思います。自分が感じたことが、他の人にもうまく伝わるといいなと思うんです。そこには大きな間や、大きな変化や何か他のことがあるかもしれませんが、はっきりとは分かりません。繰り返しになりますが、これは私が昔からやっていることなのです。新しく作品を編集するときは、それがうまくいってると感じるか感じないか、それだけなのです。私は制作に関してロボットのように、ルールに基づいて物事を考えたくないのです。ある人々は物事に精通しており写真の知識も豊富ですが、私は作品を利口な感じにしたくはないのです。賢くあることに全然興味はありませんし、何かがうまくいき過ぎていると思ったら、わざと真逆の変な方法に変えることもあります。それが何を意味するのか自分でもよく分かっていませんが、私は自分の作品を見る人に何かしらの反応を与えたいのです。そしてその反応が自分の反応と同じであれば、それは私にとってうまくいったといえます。─ つまり、あなたにとって写真は被写体とのコミュニケーションであるだけでなく、鑑賞者とのコミュニケーションの手段でもあると。おそらくそうですね。それが私のコミュニケーション方法なのです。─ シークエンスの観点から見て、私は『Dark Rooms』は特に興味深いと思っています。その本がベストセラーかどうかはさておき、私も気に入っています。本のカバーが本来はこうなる予定だったのを知っていますか?(ダストカバーを外しながら)天国への階段です。ここでこのドローイングを書きました。この絵は1946年の映画、『A Matter of...
(Mint) May The Circle Remain Unbroken by Corrine Day
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イギリス人写真家、コリーヌ・デイによる写真集。 デイは1990年代初頭、ファッションフォトグラファーとしてキャリアをスタートさせた。当時のファッション界がグラマラスでセクシーな女性像を主流としていた中で、彼女は被写体のありのままの姿をとらえるリアルでドキュメンタリー的なスタイルを貫き、無名時代のケイト・モスを起用して一躍注目を集めた。その姿勢は、後続のファッション写真に大きな影響を与えることとなる。 本書は、2010年にデイが亡くなって以降初めて刊行された作品集であり、夫で映像作家のマーク・サージー、Gimpel Fils Galleryのオーナーであるジャッキー・ハリデイ、出版社Mörelのアーロン・モレル、そして長年の友人でありミューズでもあったタラ・ヒルの共同編集により、約3年の構想期間を経て刊行された。 初公開となる初期作品群に加え、写真家としての転機となった1987年から1996年にかけての代表的な作品を多数収録。その多くはロンドン・ソーホーにある自宅フラットで、友人たちの日常を撮影したスナップショットで構成されており、まさにタイトルの示す「決して途切れることのない友情の輪」を感じさせる一冊となっている。 タイトルは、デイが生前好んで聴いていたバンド「The 13th Floor Elevators」の楽曲から引用されたもので、タイポグラフィは『時計じかけのオレンジ』や『博士の異常な愛情』の題字デザインで知られるパブロ・フェロが手がけている。 - Title: May The Circle Remain UnbrokenArtist: Corrine DayPublisher: Mörel Books, 2014Format: HardcoverSize: 254 × 203 mmPages: 164Language: EnglishEdition: First editionPrice: ¥66,000 Condition: Mint / 新品未開封
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1990年代を象徴するイギリスのファッション写真を紹介するべく、イギリス人写真家のジェイソン・エヴァンス(Jason Evans)編集のもと出版された作品集。当時エヴァンスは、ショーディッチ・ビエンナーレ(The Shoreditch Biennale)のプログラムの一環として開始された、20世紀後半のイギリスのファッション写真に関する展覧会「Look at me」の企画に携わっていた。エヴァンスは本書に関して、「ヘロイン・シック」スタイルで知られたグランジ・ファッションの時代に封印された幅広い作品を集めることで議論を広げ、90年代初頭のドキュメンタリー・スタイル(スタイルとしてドキュメンタリーの意)の写真が、特定のデザイナーやスタイリスト、そして写真家たちの枠に収まるものではなく、より特異的かつノスタルジックではないムーブメントであることを示そうとしたと述べている。収録作家Elaine Constantine/Corinne Day/Nick Knight/Marc Lebon/Craig McDean/Nigel Shafran/David Sims/Wolfgang TillmansThe Shoreditch Biennale, London, May 1998https://archive.aperture.org/article/1999/1/1/the-shoreditch-biennale-london-may-1998-Title: W'happenArtist: VariousEditor: Jason EvansShoreditch Biennale, 1998Softcover, perfect binding287 x 229 x 11mm144 pagesText in EnglishFirst editionISBN: 978-0953319916
Not in Fashion: Photography and Fashion in the 90s
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2010年9月25日から2011年1月9日にかけて、ドイツのフランクフルトに位置する美術館「MMK(MUSEUM für Moderne Kunst)」で開催された同名の展覧会の展示カタログ。本展でMMKは、1990年代を個人主義と自己決定的なスタイルの時代と定義し、ファッションと写真はその新しいライフスタイルを表現するための個人的/視覚的な言語を見つけだそうと試みていたと指摘する。その10年間は個人のアイデンティティ、個人主義、そして自身で定義したスタイルを重視する新しい世代を生み出し、ロンドン、ニューヨーク、東京、ベルリン、パリといった世界の主要都市では、新しい身体性の概念が謳歌された。彼らはプレタポルテやオートクチュール、そして光沢のあるファッション雑誌の過剰に人工的なイメージを克服し、ユースカルチャーの代わりに「リアルライフ」の写真に置き換える必要があると考えた。彼らは「集団で美しい」という概念を捨て、性差やその他の社会的慣習を無視しようとしたのである。会場では約200点の写真作品、オリジナルドキュメント、ライブイベントなどの幅広いプログラムが展示/開催され、ファッションデザイン、写真、アートが相互に影響を与え合いながら発展してきたことが紹介された。本書は写真家やデザイナーが90年代の広告キャンペーンと並行して撮影した写真や、その年代の雑誌の代表的な写真シリーズ、エッセイなど豊富に収録。90年代のファッションとファッション写真、そしてそのカルチャーを総括した歴史的展覧会に伴う大変意義ある資料となっている。展示作家Anders Edström/Ayzit Bostan/Bernadette Corporation/BLESS/Colier Schorr/Comme des Garcons/Corinne Day/Cris Moor/Helmut Lang/Inez van Lamsweerde & Vinoodh Matadin/Jason Evans/Juergen Teller/Kostas Murkudis/Maria Cornejo/Mark Borthwick/Martin Margiela/ M/M (Paris) /Nigel Shafran/Susan Cianciolo/Vanessa Beecroft/Walter Van Beirendonck/Wolfgang Tillmans/Yohji YamamotoNOT IN FASHION: Fashion and Photography in the 90swww.mmk.art/en/whats-on/not-in-fashion-Title: Not in Fashion: Photography and Fashion in the...