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¥5,800
ノルウェー人写真家/映像作家のマルタ・オースによる写真集。 『Vertical Shift』は、人工物と自然の双方を含むさまざまな風景を描いた一連の写真から構成されたオースの新作である。これらの抽象的なイメージは、曖昧な視点と方向という共通点を持っている。本作は、重力を停止させるかのように、世界を見るためのより流動的な視点の提案を試みる。そうすることで、世界における別の在り方の可能性─多面的で予期せぬ物語によって形作られ、視線を制御しようとするのではなく、解放することを目指している。 限定250部。作家によるサイン、ナンバリング入り。 - Title: Vertical ShiftArtist: Marte AasPublisher: Multipress, 2025Format: Softcover booklet with elastic bandSize: 210 x 290 mmPages: 80Printing: Offset printLanguage: n/aEdition: Limited edition of 250 copies, signed by the artistISBN: 978-82-92224-69-4 ブックレビュー:視点を解きほぐす写真集──マルタ・オース『Vertical Sift』
(Signed) Angle 16 by Marte Aas
¥2,200
ノルウェーの独立系出版社、Multipressが不定期に発行するジンシリーズ、「Angle」の第16号。本号はマルタ・オースによるノルウェー人アーティストたちのポートレート作品、『SITTERS』を収録。 360部限定。ナンバリング入り。 - Title: Angle 16Artist: Marte AasMultipress, 2016Softcover, 148 x 200 mm24 pagesLimited Edition of 360 copies
(Signed) On the Subject of Body and Space by Marte Aas
¥4,400
オスロを拠点に活動するノルウェー人アーティスト、マルタ・オースによるアーティストブック。 ヌードモデルは美術史において古風なモチーフであり、芸術は時代を超えて、個人と彼らが住む空間との関係を問題化しようとしてきた。この苦境に潜む覗き見のような視線は、写真がアートシーンに登場したとき、より顕著になった。写真の視覚体制は、見る個人と見られる個人の両方を可視化する。人間、特に裸体は客観化される。イメージを通して、空間における身体の主観的な経験を伝えることは可能なのだろうか。2014年に発表された映像作品「身体と空間の主題(On the Subject of Body and Space)」において、オースは、身体と空間の表象を研究するために、同様の戦略、ある種の方法論的現象学の導入を試みた。その翌年に発表された本作は、そのコンセプトを引き継ぎながら、枠組み、空間、縮尺、そして身体性という写真の慣習に挑戦する。蛇腹の構造はそれらの決まりごとを逆手に取っており、イメージはページの境界を自由に横断している。本書は印刷物という平面でありながら、同時に空間を占める紙の彫刻でもあり、私的な空間で平面的にイメージを眺める、作品集の慣習的な鑑賞方法に対しても批評的な一冊となっている。 200部限定。作家によるサイン入り。 *手製本のため個体差がございます。 - Title: On the Subject of Body and SpaceArtist: Marte AasMultipress, 2015Handmade cover187 x 240 mm, 12 pagesLimited edition of 200 copies, signedISBN 978-82-92224-22-9¥4,400-
視点を解きほぐす写真集──マルタ・オース『Vertical Sift』
Marte Aas, Vertical ShiftMultipress, 2025 昨年12月、ノルウェー人写真家のリーナ・バーマ・ロッケンと、映像作家/写真家のマルタ・オースによる展覧会を企画した。 リーナさんとマルタさんは作家活動と並行して、Multipressという独立系出版社を運営している。IACKを立ち上げて最初にコンタクトを取った出版社のひとつが、彼らだった。もう8年以上前になるが、当時ぼくの作品集もキュレーションされていたアーティストブックの展覧会に、マルタさんの作品が展示されていた。それまで関係性のある人たちからしか仕入れを行っていなかったにもかかわらず、そのユニークな造本に惹かれて直接連絡を取った。 地理的な理由から、取引をしている出版社と実際に顔を合わせることは稀である。けれど不思議なことに、メールだけのやり取りでも人間性は伝わるものである。長年にわたり継続的にやり取りをしている出版社は、自ずと作品だけでなく、人としてフィーリングの合う相手であることが多い。そして3年前、ぼくの写真集の出版にあわせて、パリのブックフェアでサイン会を行った際に、ついに彼らと対面することができた。二回りほど異なる世代差などまったく気にならないほど、とても温かい人たちだった。 Installation shot from the exhibiton "Opacities" at IACK, December 2025 前置きが長くなったが、このような経緯に加え、近年彼らが東京アートブックフェアに参加するようになったこともあり、「今度はぜひ金沢で企画をやりましょう」という話が自然と上がった。出版社を取り上げる企画自体は7年前にすでに行っていたため、今回は二人の展示を行うことになった。リーナさんは、昨年1BOOKsでも取り上げた作品『Dry Eye Dripping Stone』を、マルタさんは11月に出版予定の新作を、それぞれ展示することに決まった。 今回紹介するのは、展覧会のインスタレーションも印象的だったマルタさんの新刊、『Vertical Sift』である。 人工物と自然の双方を含む、さまざまな風景を写した一連の写真から構成されたこの作品は、「曖昧な視点」と「方向性」というテーマを掲げている。意図的に時代性や場所性を撮影時に排除することで、写真はアーカイブ写真のような、意味が文脈から切り離された宙吊りのイメージとして提示される。 Spread from "Vertical Shift" 文字通り、写真は上下左右さまざまな向きに回転させてレイアウトされており、見る者はカメラがピント合わせをするように、自身の目のピントを目まぐるしく合わせながら、写真と向き合うことになる。この作品が試みているのは、世界を見るための、より流動的な視点の提案だ。作家の言葉を借りて言い換えるなら、「世界における別の在り方の可能性」──つまり、多面的で予期せぬ物語である。 本作を眺めていると、凝り固まった視点がほぐされていき、どこか肩の力が抜けるような感覚を覚える。写真とはこうでなくてはいけない。物事はこうでなくてはいけない。何かを続けていると、知らず知らずのうちにそうした考えに支配されていく。それは思想やスタイルとも捉えることができるだろう。 だがぼくたちはある地点で立ち止まり、物事を見返し、自身の立ち位置を確認することも必要だ。そういう意味で、一年の始まりにもふさわしい一冊ではないだろうか。本作は視覚的な体験を通して、読者が世界を捉える視線そのものを、もう一度ゆっくりと組み替えていくのである。 Essay by Yukihito Kono (5 March, 2026)Originally written for 1BOOKs at CANDLE CAFE & Laboratory ∆II, January...
OpacitiesLine Bøhmer Løkken & Marte Aas2025年12月6日(土)- 12月28日(日) この度 IACK は、ノルウェー人写真家リーナ・バーマ・ロッケンと、同じくノルウェー人アーティストのマルタ・オースによる展覧会を開催します。 ロッケンとオースは学生時代を共に過ごし、現在はそれぞれが作家としてノルウェーを拠点に国内外で精力的に活動しています。2002年にオースがアンナ=グレタ・トーレスンとともに立ち上げ、2013年にロッケンが加わった独立系出版社 Multipress は、現代のアートブック/写真集出版シーンにおける先駆的存在であり、設立から20年以上を経た現在も「本」というフォーマットでの表現可能性を探求し続けています。 ふたりによる日本初の展覧会となる本展では、2024年に写真集を発表し高い評価を得たロッケンの『Dry Eye Dripping Stone』と、オースの新作『Vertical Shift』が共有するテーマ「霞/不透明さ(Opacities)」に焦点を当てます。ロッケンの作品は「視覚の光学的・触覚的なあり方」を中心に据え、視覚障害の領域にも接続しながら、見ることそのものの身体性を問いかけます。一方、オースの作品は写真を固定された視点から解放しようとする実践です。本展は、この2作を同一空間上に構成するインスタレーションとして展示されます。 会場では作品展示に加え、オースの新刊『Vertical Shift』、そして両者がこれまでに刊行してきた主要作品集も販売いたします。初日は作家も在廊いたしますので、この機会にどうぞご来場ください。 プレスリリース - OpacitiesLine Bøhmer Løkken & Marte Aas会期:2025年12月6日(土)- 12月28日(日)*営業日詳細はこちらのページよりご確認ください。営業時間:平日 10:00-12:00/13:00-16:00、土日祝 11:00-14:00/15:00-18:00会場:IACK入場無料 リーナ・バーマ・ロッケン(Line Bøhmer Løkken)1970年生まれ、写真家。オスロを拠点に活動するロッケンは、建築物、人、物を通して、私たちがどのように異なる場所と関わり、経験するかをテーマとした写真作品を中心に制作を行う。近年では触覚的な視覚の側面を探求し、視線を通して触覚的な読みを得ることを目指すことで、より現象学的な写真へのアプローチに重点を置いている。これまでに「Kunstnerforbundet」、「Galleri BO」、「Opplandia kunstnersenter」、「Kunsthall Oslo」、「Gallery F15」、「Fotogalleriet」、「Henie-Onstad Kunstsenter」、「Galerie für zeitgenössische Kunst」で展覧会を開催。アーティストブックも多数出版しており、また、アーティストが運営する出版社「Multipress」の共同運営者として、プロジェクト「Angle 1-90°」のキュレーションやマネジメントを行っている。 www.linebohmerlokken.com マルタ・オース(Marte Aas)1966年生まれ、写真家・映像作家。オースは、現代のイメージ文化、歴史、技術、そして景観の政治が交差する地点に関心を寄せ、作品では政治的・イデオロギー的物語を支える構造やジェスチャーに焦点を当てる。映画、写真、インスタレーションといった多様な形式を用いて、非線形で層をなす物語として可視化する点に特徴がある。作品の出発点となる素材は、現代または歴史的資料に存在する物語であることが多く、写真実践を基盤にしながらも、メディア研究を通して再構成・加工される。そのため、写真の物質性、記号と表象の関係、写真の表象的価値といったテーマも、彼女の実践において重要な探究対象となっている。ヨーテボリ大学写真学部で学び、ノルウェー国内外で展覧会や上映を多数開催。直近の個展に、2023年オスロ「Atelier Nord」での『It Cannot be Contained』がある。著作に『Marte Aas...
PRESEN TATION – VOL.3Between Branches by FOC, NN and IACK23 February, 2026Info Local (Art) Book Market10 January, 2026Info OpacitiesLine Bøhmer Løkken & Marte Aas6 - 28 December, 2025Info それから ─ アーティストブックと変容の詩学Yukihito Kono30 April - 31 May, 2025Info Feature: Roma Publications and Mark Mandersローマ・パブリケーションズとマーク・マンダース13 - 29 December,...
もうあと数時間もすると、2025年も終わります。 皆さんにとってはどのような一年でしたか? 店主は個人としてもIACKとしても、「外に出向く」ことを目標に動いていたため、IACK店頭での展示企画本数は例年より若干少なくなりました。しかしその分、より多くの方に直接本を届けられたのではないかと思います。 作品集に関しては、取り扱いの有無に関わらず、今年も多くの写真集を手に取りました。ブックフェアにも例年以上に出向いたので、累計で何冊に目を通し、手に取ったのかはまったく分かりません。 では今年も簡単にではありますが、IACKに入荷した本の中で特に印象に残った写真集を振り返りながらご紹介します。 DistributionDaniel SheaPublished by MACK ダニエル・シェアと MACK。2010年代の写真シーンを代表する写真家と出版社による本書は、時代の節目を感じさせる見事な一冊でした。 本作は、「森を撮るとはどういうことか」という問いを起点に制作された作品であり、断片的な写真、あるいは全体を写したとしても、物事の一部しか語り得ないという写真メディアの性質を受け入れた上で、現代アメリカの都市像に迫ります。 統計的に「最もアメリカ的」とされる女性のポートレートで幕を開け、断片的な都市のイメージ、静物、グリッド状のレイアウト、コラージュなど、写真集表現におけるあらゆる技法が駆使されています。写真の強度だけを見れば、もっと薄い造本でも成立するでしょう。しかし、執拗な反復やシークエンスによって、鑑賞に時間をかけること自体が重要になっており、そのためにこの仕様に落ち着いたのだと感じます。 現代における写真、イメージ、印刷物、生成画像、そしてリアリティーとは何か。最後に収録された小説も本作に一層の深みを与えています。年内にレビューを書く予定でしたが間に合わず……1月には改めて記事をまとめるつもりです。まだお持ちでない方には、今年、そして一時代の総括として、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。 通販ページはこちらhttps://www.iack.online/products/distribution-by-daniel-shea?_pos=50&_sid=69e3c36a3&_ss=r Vertical ShiftMarte AasPublished by Multipress 今月、店頭ではノルウェー人写真家リーナ・バーマ・ロッケンと、写真家/映像作家のマルタ・オースによる展覧会を開催しました。ふたりは作家活動と並行して Multipress というアーティストラン出版社を運営しており、本作も自らのレーベルから出版されています。実は Multipress は、IACK を立ち上げた8年前に最初にコンタクトした出版社でもあります。そのきっかけは、当時店主が参加していたアーティストブックのグループ展で、同じく展示されていたオースさんのアーティストブックでした。 振り返ってみると、これまでオースさんの作品は、映像作品のキャプチャであったり、映像とセットであったりと、写真が全面的に主役になることは少なかった印象があります。本作は明確に「写真作品」として制作されており、彼女の高い写真技術と個性が際立っています。アーカイブ写真を素材として扱うバティア・スーターの作品を想起させるように、場所性や時代性を示す要素を排除した写真は、アーカイブのようでありながら強い作家性を感じさせます。 写真の上下左右をあえてばらばらの向きで収録するレイアウトは、一枚の写真に対する固定的な読解を拒んでおり、視覚的な驚きとともに、写真を読む面白さの原点にも立ち返らされます。ブルーのゴムバンドで綴じた装丁も良い佇まいです。 通販ページはこちらhttps://www.iack.online/products/vertical-shift-by-marte-aas?_pos=34&_sid=69e3c36a3&_ss=r ODaniel Reuter and Umihara ChikaraPublished by Roma Publications / Arts Council Luxembourg 今年開催された大阪・関西万博。ルクセンブルク館では、プログラムの一環として、ルクセンブルク出身の写真家ダニエル・ロイターと、日本人写真家・海原力による展覧会が行われました。本書は、その展覧会に合わせて、オランダの Roma Publications から刊行された写真集です。 一枚一枚の写真に派手さはありませんが、それこそがふたりが見た均質的な湾岸地域の風景であり、その均質さを表現するために、撮影における取捨選択が徹底されています。何より本書を特徴づけているのが、同じ写真をモノクロとカラーで反復させるブックデザインでしょう。本という形式だからこそ成立する写真表現であり、さすが Roma Publications と言わずにはいられない手腕です。ランドスケープ写真集の可能性を切り拓く、見事な一冊だと思いました。...
Artist Interview: Line Bøhmer Løkken (Photographer/Multipress)
– こんにちは。まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?私は1970年にノルウェーの小さな山村に生まれました。記憶する限り、写真はその時から今まで常に生活の一部でした。父は地下に暗室まで持っていましたし、確か私も12、13歳の頃に初めて写真を新聞社に販売しました。大学はスウェーデンのヨーテボリの大学に行き、そこで5年間写真を学びました。大学卒業後、オスロに落ち着く前は2、3年間ニューヨークに住んでいました。幸運なことにキャリアのほとんどで、自分の作品制作をしながらアート関係の教師やキュレーターとして、そしてギャラリーで仕事をしたりすることができています。私は主に写真を用いた作品を制作していて、テーマとしてはある場所を特徴付けている建築や人々、物事を通して、私たちはどのように関わり合い、そして広い意味でどのように様々な場所を体験するのかということに興味があります。写真によって視覚的体験を成し遂げるだけでなく、写真を通した身体現存性まで表現できるように努めています。– Multipressは2000年に設立され、今年で活動18年目になります。これほどまで長く継続して活動する独立系出版社も珍しいと思いますが、そもそもMultipressはどのような経緯で始まったのでしょうか。また、2000年当時のオスロのアートブックシーンはどのようなものでしたか?Multipressはマルタ・オースとアンナ=グレタ・トーレスンが、「パブリックアートとしての写真」というテーマの出版物を2002年に制作して以降本格的に始動しました。当時は展覧会に併せてカタログを制作することが流行っていて、彼らは二人でカタログを制作しました。なのである意味、Multipressは本を制作するための現実的な解決策として始まり、今でも同じ方法で継続していると言えるかもしれませんね。出版社というのは私たち自身の作家活動にも非常に関わりが深いものです。もしそうでなければおそらくここまで長く続けていないとも思います。当時はアートブックのシーンというものは全くと言っていいほどなくて、おそらく国全体でも少ししかアートブックと呼ばれるものはありませんでした。あの時代にそれ自体アート作品としての作品集という考え自体まだまだ普及していませんでしたが、それ以降徐々に浸透していきました。その頃、私たちはカタログとアーティストブックの違いは何なのかということについて議論し始めていました。通常作家が1冊の本を出版するまで、発案から資金繰りそして完成に大体2、3年間ほど時間がかかります。そしてそれらの議論が、私と1歳年上のアーティスト、タイン・オーモットとの協働プロジェクト、『Manual』の出版に繋がっています。私たちは本を展示の成果を保管するための容器のようなものとしてではなく、展示の出発点として制作したかったのです。それは今日でも私の作品制作における主題であり、作品の題材が大きく変わったとしてもその点は揺るぎありません。ええ、本当にそう思います。Fotografi som offentlig kunst by Anne-Grethe Thoresen and Marte Aas (2002) ©︎Multipress– あなたは2004年に最初の写真集、『Pictures & Things』をMultipressから出版しますが、どのようにして彼らと出会い、写真集を制作することになったのでしょうか?私は10代後半から20代前半の時期をマルタとともに過ごしました。私が18歳の時彼女は21歳で、彼女は私にとって初めてのちゃんとした写真の先生だったんです。スウェーデンの大学に同時期に合格してからは一緒の家に住んでいました。そして現在では同じスタジオを8年間シェアしています。これで私たちがどれほど互いのことを知っているかということは十分伝わるのではないでしょうか。Multipressとして出版を行うことは、普通の会社としての出版社では不可能な、全てを自分で選択する自由を与えてくれました。当時は自分で好きなように出来るということをおそらく今よりもさらに重要に感じていたと思います。– そして2013年には実際にMultipressのメンバーに加わりますが、どのような経緯で加入に至ったのでしょうか。Multipressから3冊の本を出して『Tøyen sentrum』の写真集を制作していた頃、もはや彼らに加わるかそれとも自分で出版社を立ち上げるべきかどちらかだという風に考えていました。それに私はブックフェアにも自分で参加して、もう少しプロモーションにも力を入れるべきかどうかということや、現場の状況も知りたかったのです。– Multipressの作品集を初めて見たとき、現在メインストリームの写真集とは異なる文脈から派生しているような印象を受けました。つまりそれは写真独自の文脈というよりも、コンテンポラリーアートやアーティストブックの流れを組むような文脈なのですが、あなたが加入して以降、ハードカバーのタイトルが増えたりAngleシリーズが開始されるなど、実際にMultipressのプロダクションは第2段階にシフトしたように感じます。現在はリーナさんが中心となって運営しているのでしょうか?また、何かそのことで変化したことはありますか? はい、現在は私が中心となって運営を行なっています。加入前後、ということを判断するのはとても難しいですね。私は全てのプロジェクトに対してあまりにも深く関わっているためある意味盲目的なのですが、もちろん加入時はいくつか展望がありました。アーティストたちとのコラボレーションの機会はもっと増やしたかったですし、より広く、しかしさらに特化したアーティストのセレクトをしたいと考えていました。それが自身の作風にどのように影響しているのかということですが、これもまた言葉にするのは難しいのですが、Multipressでのひとつひとつの経験は常にフィードバックを生み出し、そして本と本作り全般において学ぶことで、以前よりその過程に自覚的になりました。おそらく最も大きな変化は誰と作品を制作するかということと、そしてより写真というメディアにフォーカスするようになったことだと思います。写真集とアートブックの中間という位置付けはまさにその通りで、私たちの目標は私たちが所謂分野ごとの趣味趣向の外側に立っていると主張することなしに、スタイルの好みやファッション性以上に全ての本がコンセプトと論理をしっかりと持っているということです。最初の頃は本のフォーマット自体を拡張したり、本というメディアに何が可能なのかというテーマに挑戦していましたが、現在ではどちらかというと本は作品がさらに発展するための場であると考えています。Tøyen sentrum by Line Bøhmer Løkken (2014) ©︎IACK– 毎号様々なアーティストと制作するジンのシリーズ「Angle」もあなたが加入してからスタートしたプロジェクトです。こちらはバリエーションが非常に豊かで、ページ数が少ないにもかかわらず毎号安定して完成度が高い印象を受けます。このプロジェクトについてもお話願えますか?Angleはアーティストであり写真家、そしてブックメーカーであるヴェレナ・ヴィンケルマンと共同で取り組んでいるプロジェクトです。元々のアイディアは普段の大掛かりなプロジェクトに比べてより少ない時間でより濃密な出版物を制作するというものでした。これにはまた、私がMultipressをより活動的にするため、出版物のタイトル数を増やしたかったという理由もあります。Angleのテーマは写真言語の可能性を探り、そして現代のイメージ生成についての継続的な議論の種を提供することです。私はこのプロジェクトを通してノルウェーのアートシーンを総括し、そして国際的なシーンとの対話にも向かっていきたいと思っています。Angleを始めるに当たって、私たちは最終的に90巻まで制作するというとても高いゴールを設置しました。完遂するには生涯を費やすことになるでしょう。現在は次の4冊に向けて資金を準備しているところです。そして30巻に到達する時が最初の大きな節目となります。その時におそらく以降の30巻についてコンセプトを練り直したり、再度議論することもできると思います。– 作品集を制作するときはどのような流れでプロダクションを行うのでしょうか。例えばどのようにして作家のセレクトを行い、そしてどのように作品を本に落とし込んでいくのですか?Multipressはある意味「自費出版社」とでもいうようなもので、私たちが作家に提供するのは、そうですね、傘のようなものです。私たちはほとんど知り合いや近しい友人たちとしか制作をしていません。そしてAngleを除く全ての本は作家たちが自分で費用を負担しています。代わりに私たちはコンセプトからレイアウト、デザインまで全ての過程で一緒にディスカッションをしたり、アドバイスをしたりします。もちろん作家がそれを受け入れようと受け入れまいと最終的には自由です。作家が最終的なプロダクトの自主権を保有することは、我々には非常に重要なことです。私たちのキャパシティー不足により、いくら良い申し出があってもたくさんの作家は受け入れられません。しかしAngleは例外で、我々が作家を招き、キュレーションも行います。作家のセレクトはヴェレナと私の継続的な対話に基づいてなされています。しかし新たな挑戦として、次はヘスター・カイゼルに二人の作家のセレクトを依頼しました。これは新しい取り組みであり、実りのあるものになることを願っています。へスターはアーティストの教育を受けましたが、現在はキュレーター、そしてライターとして活動をしています。おそらく他のアーティストと共同制作をした経験のあるアーティストは、自分以外の制作に携わったことのない人たちとは異なった物事の捉えかたや選択をするのではないかと思います。– あなたは最初の写真集の出版以降も継続的に自身の写真集を多く出版しています。改めてお尋ねしますが、あなたにとって写真集を制作するということにはどのような意味合いがあるのでしょうか。また、ほかの出版社からではなく自らの出版社から本を出すことについてのこだわりはありますか?本というフォーマット、あるいは「展示の場」としての本というものは、私の作家活動において非常に重要なものです。私は本をカタログやただ参照されるようなものだと考えたことがありませんし、それ自体が作品であると捉えています。デザインはプロジェクトのコンセプトとマッチするように努めているので、私は常に自分自身とそれらの選択について議論し続けています。そしてレイアウト以上にイメージ自体を先行して可視化させたいので、本のリズム(シークエンス)により多くの時間を費やしています。自身の制作において、本のフォーマットで作品を考えることは間違いなく必要不可欠です。本づくりに伴う制限や全ての選択に自分で責任を持つということに、ある種の自由を感じることもあります。私にとって、少なくとも現時点では、特装版などの唯一無二性よりも、作品に興味がある人にとってより身近でかつ購入することもできるという、民主的な側面がより面白いと感じるのです。写真と本の間には愛のような密接な関係があるのは疑いようがありませんし、両者は最高な組み合わせだと思います。Feature: Multipress at IACK (2018) ©︎IACK– 以前、ノルウェーは出版社にとってはある意味天国のような場所だという内容の記事を読んだことがあります。現在のノルウェーの出版事情やアートブックシーンはどのような状況ですか?ノルウェーには芸術に関するとてもよい基金システムがあります。例えば、アート作品には通常の税額に加えて5パーセントの税が加算されます。そしてそのお金は新たに作品制作をする際の助成金を交付する財団のもとへと直接送られます。助成金が話題に上がる際には同時に、アーティストのための全ての協定と権利は常に右派の圧力に晒されており、我々は常にそれに抗わないといけないということもよく指摘されます。作家の数はかなり増えていますが、その分野を全面的に支えるだけの資金自体は成長が見られません。なので助成金を得ることは年々難しくなっており、我々はよりプロフェショナルであることを絶対的に求められています。そしてこれは特定の形態の作品がよりそのシステムに適合しやくなるということであり、アーティストがより助成金を得やすいような作品を制作するといった、逆説的な現象をも引き起こしてしまっています。また、年々制作されるアートブックの数も増えていて、特に写真の分野では、皆が皆本を作りたがります。ですので、ここでもまた助成金の応募者の数だけが増える一方という状況です。しかし良い作品と忍耐力さえあればいつでも実現できますよ。そしてヨーロッパでは出版される写真集の数は増えていますが、実際に写真集を買う人の数は必ずしも増えてはいない印象です。私が最近感じるのは、作品制作において本というフォーマットを本当に用いる必要があるのか、ということを自問自答する必要性を強く感じるということです。何故本を作るのか、という問いはかつてないほど重要になってきていると思います。– Multipressの今後の予定を教えてください。Multipressはもう少し資金を準備しなければならないプロジェクトが1つありますが、秋ごろには確実に4つのAngleが出版されます。私個人としては、現在新聞をテーマにした作品に取り組んでいて、9月に開催される展示でそれを無料配布する予定です。(Interviewed on 6 June, 2018) Portrait of the artist ©︎Line Bøhmer Løkkenリーナ・バーマ・ロッケン/Line Bøhmer Løkken写真家。1970年生まれ、オスロを拠点に活動。建築物、人、物を通して、私たちがどのように異なる場所と関わり、経験するかをテーマとした写真作品を中心に制作を行う。近年では触覚的な視覚の側面を探求し、視線を通して触覚的な読みを得ることを目指すことで、より現象学的な写真へのアプローチに重点を置いている。これまでに「Kunsthall Oslo」、「Gallery F15」、「Fotogalleriet」、「Henie- Onstad...
(Signed) Torshovtoppen by Marte Aas
¥0
ノルウェー人アーティスト、マルタ・オースによるポスターブック。 本書は、オスロのトルショフトッペン地区に関する16mmカラー映像作品と連動して制作・展示されたポスターブックであり、この地域が民間投資家に売却された瞬間の、かつての公共庭園の姿を記録している。公共空間の私有化や都市計画に潜むイデオロギーへの問いかけは、フィルムや写真に残された微細な痕跡を通じて現実のものとなり、都市がどのように読み取られ、識別され、分類されるかという問題に対する思考と交渉へと導いていく。 写真は、A1サイズ相当の大判ポスターとしても、本という形式でも読まれるよう巧みにレイアウトされている。 限定500部。現在絶版。 - Title: TorshovtoppenArtist: Marte AasPublisher: Multipress, 2008Format: Softcover, poster book, offset printSize: 410 × 575 mmPages: 24Edition: Limited edition of 500 copies
(Signed) Ducks in a Row by Marte Aas
¥6,600
オスロを拠点に活動するノルウェー人アーティスト、マルタ・オースによる作品集。 本書は、2017年から2023年にかけて作者が制作した5つの映像作品と、数々のアートプロジェクトを主題化したアーティストブック/モノグラフである。その焦点と範疇は多岐にわたるが、テクノロジーがわたしたちの生活、身体、そして政治に及ぼす影響に関する調査と作家の深い関心により包括されている。また本書は、複数の異なる入り口と思考の境界をもつ制作プロセスのカコフォニーをもとに構成されており、映像作品からスチール写真、スケッチ、そしてリサーチ資料まで、6年間におけるオースのあらゆるプロセスを包括したドキュメントの体をとっている。 作家によるサイン、ナンバリング入り。 - Title: Ducks in a RowArtist: Marte AasMultipress, 2023Softcover with dust jacket210 x 272 mm232 pagesText in EnglishFirst edition of 300 copies, signed and hand-numbered by the artistISBN 978-82-92224-57-1¥6,600-