Old Tjikko by Nicolai Howalt
デンマーク人ビジュアル・アーティスト、ニコライ・ハウルトによるアーティストブック。
97点すべてが同一の写真ネガから制作された『Old Tjikko』は、他に類を見ない一冊である。本書は、人類が知る最古の生物についての本であると同時に、写真イメージの不安定性、そして時間・現実・知覚が不可思議に絡み合う様相をめぐる書でもある。
スウェーデン・ダーラナ地方の山腹に広がる人里離れた風景の中に立つ「オールド・ティッコ」は、樹齢9,600年とされ、世界最古の樹木と考えられている。この特異なトウヒを写した一枚の写真ネガが、本書に収録された数多の写真へと姿を変える。同一のイメージを、97種類の経年したアナログ感光印画紙に焼き付けることで——その中には1940年代まで遡るものも含まれる——ハウルトは、使用期限を大きく過ぎた印画紙の予測不能性そのものを、各イメージの不可欠で動的な要素として取り込んだ。
その結果、ほとんど有機的とも言える多様な知覚と表現が立ち現れる。陰鬱な黒から幽玄な白へと振幅する、同一モチーフの97の変奏。印画紙内の制御不能な銀ハロゲン化物が、突如として流星群のような現象を生み出したり、濃い霧に包まれたかのような風景を出現させたりするイメージもある。写真イメージの恒常性を問い、その物質性が私たちの知覚に与える微細で見過ごされがちな影響を指し示しながら、印画紙の老化がもたらすこれらの「不完全さ」は、遠く異なる時間の断片を覗かせるかのようだ。ハウルトによって現在へと呼び起こされる、休眠していた痕跡。そして、つい最近撮影されたネガに凍結された一瞬が描き出すのは、それ自体が数千年という、ほとんど理解不能な時間の経過を体現する一本の樹木である。
本書には、菌類学者ヘニング・クヌーセン、哲学者セーレン・ゴスヴィグ・オーレセン、美術史家ラース・キール・ベアテルセンによる3本のエッセイを収録。自然科学・生物学、知覚の哲学、写真史という文脈の中に本作を位置づけている。
第三版。限定1,000部。
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Title: Old Tjikko
Artist: Nicolai Howalt
Publisher: Fabrikbooks, 2019
Essays: Henning Knudsen, Associate Professor Emeritus of Mycology, Natural History Museum of Denmark; Søren Gosvig Olesen, Associate Professor in Philosophy, University of Copenhagen; Lars Kiel Bertelsen, Associate Professor in Art History, Aarhus University
Book Design: Rasmus Koch Studio
Print: Narayana Press
Format: Hardcover, silver gilded edges
Size: 166 × 225 mm
Pages: 224
Plates: 97
Language: English
Edition: Third edition of 1,000 copies
ISBN: 978-87-998207-5-7