Büropflanze by Saskia Groneberg
ドイツ人写真家、サスキア・グローネベルクによる写真集。
本作はドイツのオフィスに生い茂る植物を対象にした研究である。ワークスペースをめぐる省察であると同時に、日々の労働のかたちや価値を根本から問い直す試みでもある。職場にほとんど無意識に持ち込まれた自然の断片は、無機質で標準化された環境──すべてが機能性の名のもとに配置される空間──に置かれることで、人間の根源的な欲求を露わにしていく。会社から装飾として与えられたものであったとしても、オフィスの植物は、硬直した機械仕組みの中に芽生える小さな無秩序であり、幾何学的な形態に紛れ込む曖昧な存在であり、管理システムのただ中に差し込まれる生命の火花である。休暇のポストカードや家族写真など、無機質なオフィス建築を個人化しようとする試みとは異なり、植物は変化し、成長する。天井に向かって伸び、ヒーターを覆い、ブラインドの隙間を侵食していく──それは時に誰にも気づかれず、時に丹念に観察され愛情をもって育まれる。植物は一定の範囲までしか制御できないが、同時に極めて依存的でもある。乾いた人工的な環境で生き延びるためには水や世話が不可欠だ。郵便室から社長室に至るまで、亜熱帯から持ち込まれた頑健な種が共存しており、室温、乾期、洪水的な水やりに適応している。人間と植物の密接な関係は、時に一人のキャリアの長さに匹敵するほど続くこともある。
グローネベルクはドイツ各地のオフィスに足を運び、そこを「自然の生息地」として生きるオフィス植物を撮影した。そして葉を集めてオフィス植物のハーバリウムを作り、スキャナーを用いてアーカイブし、その後は挿し木として育てた。さらに従業員が綴ったテキストを併録し、植物と所有者の心理的関係を垣間見せる。こうしたリサーチの成果は、歴史的な植物図譜を思わせる大型のアーティストブックに結実し、今回写真を収録した第二のアーティストブックが刊行された。
限定500部。
-
Title: Büropflanze (office plant / 2012)
Artist: Saskia Groneberg
Text: Thomas Seelig
Publisher: Edition Taube, 2017
Format: Hardcover, thread-stitched, Offset Duplex UV Print
Size: 210 × 290 mm
Pages: 76
Language: German & English
Edition: First edition of 500 copies
ISBN: 9783945900086
Price: ¥7,150