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Feature: MOKSOP
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この度IACKは、「写真ハルキウ派美術館(MOKSOP)」の特集を開催いたします。
「写真ハルキウ派」とは、ソ連時代のウクライナの都市ハルキウで、当時禁じられていたヌードをはじめとした芸術写真を探求した、ボリス・ミハイロフを中心とした写真家たちの集団と、その後続世代たちを指します。ドイツのベッヒャー派などのスクール(学派)とは異なり、グループや個人でのワークショップを通してその手法や美学が探求/継承され、現在では50人弱のメンバーが名を連ねています。
写真ハルキウ派美術館は、2018年にハルキウ派の写真家でありキュレーターのセルヒー・レヴェディンスキーにより設立されました。ウクライナと国際的な写真の保全、調査、発展を目指すハルキウ派の美術館として開館予定でしたが、2022年のロシア軍侵攻により施設の開館は白紙となり、収集されたハルキウ派の作品群はドイツのヴォルフスブルクにあるレベディンスキーの自宅の地下室に避難させられました。その後、作品はヴォルフスブルク美術館により一時的に保管されることになり、2023年10月13日から2024年1月7日まで、この重要なコレクションの一部が「ウクライナの夢みるひとたち 写真ハルキウ派」展として展示されました。
当特集ではMOKSOPの出版物に加え、ハルキウ派の源流であるボリス・ミハイロフの作品集、そしてロシア文学者でありゲンロン代表の上田洋子による、写真家のボリス・ミハイロフとハルキウ派に関する論考を収録した「ゲンロン16号」を取り上げます。
この機会にどうぞご高覧ください。
*追記 2024年6月13日
現在ウクライナと聞くと否応なしに戦争のイメージと結びついてしまいますが、当展は戦争をテーマにした展示ではございません。わざわざこう明言するのは、そのようなイメージのもとで人々や物事を一括りに捉えることは、すべてを政治的なものに書き換えてしまう暴力性を持つからです。そもそもウクライナといっても、戦地になっている場所もあれば、これまでと変わらない生活を送っている場所もあリます。どれだけ不安定であろうと、そこには常に非政治的な日々の営みがあるはずです。当展は、いかにハルキウの作家たちがしなやかに写真表現を探求してきたか、そして芸術や創作活動をはじめとした一見余剰に思えるものが有事の際にどのように機能するかを考察します。
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Feature: MOKSOP
会期:2024年5月25日(土)- 6月23日(日)|6月1日を除く土日祝と6月10日(月)、6月21日(金)の営業 *会期延長となりました。 2024年5月25日(土)、26日(日)、27日(月)、6月2日(日)
営業時間:11:00-14:00/15:00-18:00
会場:IACK
オンラインでの特集はこちら
www.iack.online/collections/kharkiv-school-of-photography