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Opacities
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この度 IACK は、ノルウェー人写真家リーナ・バーマ・ロッケンと、同じくノルウェー人アーティストのマルタ・オースによる展覧会を開催します。
ロッケンとオースは学生時代を共に過ごし、現在はそれぞれが作家としてノルウェーを拠点に国内外で精力的に活動しています。2002年にオースがアンナ=グレタ・トーレスンとともに立ち上げ、2013年にロッケンが加わった独立系出版社 Multipress は、現代のアートブック/写真集出版シーンにおける先駆的存在であり、設立から20年以上を経た現在も「本」というフォーマットでの表現可能性を探求し続けています。
ふたりによる日本初の展覧会となる本展では、2024年に写真集を発表し高い評価を得たロッケンの『Dry Eye Dripping Stone』と、オースの新作『Vertical Shift』が共有するテーマ「霞/不透明さ(Opacities)」に焦点を当てます。ロッケンの作品は「視覚の光学的・触覚的なあり方」を中心に据え、視覚障害の領域にも接続しながら、見ることそのものの身体性を問いかけます。一方、オースの作品は写真を固定された視点から解放しようとする実践です。本展は、この2作を同一空間上に構成するインスタレーションとして展示されます。
会場では作品展示に加え、オースの新刊『Vertical Shift』、そして両者がこれまでに刊行してきた主要作品集も販売いたします。初日は作家も在廊いたしますので、この機会にどうぞご来場ください。
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Opacities
Line Bøhmer Løkken & Marte Aas
会期:2025年12月6日(土)- 12月28日(日)*営業日詳細はこちらのページよりご確認ください。
営業時間:平日 10:00-12:00/13:00-16:00、土日祝 11:00-14:00/15:00-18:00
会場:IACK
入場無料

リーナ・バーマ・ロッケン(Line Bøhmer Løkken)
1970年生まれ、写真家。オスロを拠点に活動するロッケンは、建築物、人、物を通して、私たちがどのように異なる場所と関わり、経験するかをテーマとした写真作品を中心に制作を行う。近年では触覚的な視覚の側面を探求し、視線を通して触覚的な読みを得ることを目指すことで、より現象学的な写真へのアプローチに重点を置いている。これまでに「Kunstnerforbundet」、「Galleri BO」、「Opplandia kunstnersenter」、「Kunsthall Oslo」、「Gallery F15」、「Fotogalleriet」、「Henie-Onstad Kunstsenter」、「Galerie für zeitgenössische Kunst」で展覧会を開催。アーティストブックも多数出版しており、また、アーティストが運営する出版社「Multipress」の共同運営者として、プロジェクト「Angle 1-90°」のキュレーションやマネジメントを行っている。
www.linebohmerlokken.com
マルタ・オース(Marte Aas)
1966年生まれ、写真家・映像作家。オースは、現代のイメージ文化、歴史、技術、そして景観の政治が交差する地点に関心を寄せ、作品では政治的・イデオロギー的物語を支える構造やジェスチャーに焦点を当てる。映画、写真、インスタレーションといった多様な形式を用いて、非線形で層をなす物語として可視化する点に特徴がある。作品の出発点となる素材は、現代または歴史的資料に存在する物語であることが多く、写真実践を基盤にしながらも、メディア研究を通して再構成・加工される。そのため、写真の物質性、記号と表象の関係、写真の表象的価値といったテーマも、彼女の実践において重要な探究対象となっている。ヨーテボリ大学写真学部で学び、ノルウェー国内外で展覧会や上映を多数開催。直近の個展に、2023年オスロ「Atelier Nord」での『It Cannot be Contained』がある。著作に『Marte Aas – Photography and Film』(2010年)、『On the Subject of Body and Space』(2013年)、『Ducks in a Row』(2023年)など。独立系出版社 Multipress の創設メンバーのひとりでもある。
www.marteaas.com
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Artist Interview: Line Bøhmer Løkken (Photographer/Multipress)