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[1月26日-28日|都内イベント出展] IACK meets Esmeralda Serviced Department
IACK meet Esmeralda Serviced Department2024年1月26日(金) -28日(日)この度IACKは、東京都に店舗を構えるセレクトショップ「Esmeralda Serviced Department」にてポップアップイベントを開催させていただきます。会期中はイベントに合わせてセレクトした新刊や古書に加え、2022年にIACKで展覧会を開催したイギリス人写真家、ナイジェル・シャフランが今日までに発表したアーティストブックの貴重なアーカイブも展示/販売いたします。また、会場では写真家でIACK主宰の河野幸人によるチャリティープリントの販売も行われ、当イベントでの書籍の売り上げの一部は令和6年能登半島地震の被災地への義援金として寄付いたします。独自の世界観を作り上げた素敵なお店でのポップアップとなりますので、この機会にどうぞご来場ください。IACK meet Esmeralda Serviced Department会期:2024年1月26日(金) -28日(日)会場:Esmeralda Serviced Department(東京都渋谷区富ヶ谷1-37-2 1F)営業時間:12:00-19:00www.esdepartment.com*会期中IACK金沢店は休業となりますので、お間違えのないようご注意ください。
すべて 2026 2025 2024 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2026年2月23日 PRESEN TATION – VOL.3Between Branches by FOC, NN and IACK 2026年1月10日 Local (Art) Book Market 2025年12月6日–28日 Opacities Line Bøhmer Løkken & Marte Aas 2025年4月30日–5月31日 それから ─ アーティストブックと変容の詩学 Yukihito Kono 2024年12月13日–29日 Feature: Roma Publications and Mark Mandersローマ・パブリケーションズとマーク・マンダース 2024年12月7日 Artist...
asia issue 01 (Cover by Ece Gökalp)
¥6,600
アジアをテーマにしたフランスの写真誌「asia」の創刊号。 本誌は、アジアという広大で多様な大地を舞台に、そこに生きる人々の視点と、旅人や移住者のまなざしを交差させながら、アジアのイメージを多層的に描き出すことを目指し、年に一度刊行される。 創刊号には、世界各地で活躍する10名の写真家が参加。マーティン・パーは30年以上にわたるインド滞在を通して、日常と祝祭が入り混じる風景をユーモラスに捉え、ジョンジン・リーは韓国・済州島の自然を墨のようなトーンで描写する。ファラ・アル・カシミはドバイの巨大ショッピングモール「Dragon Mart」を舞台に、グローバリゼーションと消費社会を軽やかに表現。アレック・ソスは北海道を舞台に、言語がうまく通じない女性との7日間の旅を記録した未発表作品を32ページにわたって再構成し、ナイジェル・シャフランは香港と深圳の何気ない日常を淡々と写し出す。シャオペン・ユアンは、アジア社会における男性像を再演するユーモラスな演出を通して現代性を問いかけている。 さらに、バングラデシュのサーカー・プロティックは、発展と痛みのはざまで変化するベンガル地方を長期的に記録し、パリを拠点とするリュウ・イカは、内モンゴルを舞台に母と子の記憶をめぐる幻想的なイメージを重ねる。トルコのエジェ・ギョカルプは、採掘によって変容するラトモス山地をリサーチし、忘れられつつある自然と文明の関係を問い直す。そして金沢の写真家・河野幸人は、自身の書店兼ギャラリー「IACK」の日常を撮影し、本号の最後を飾っている。 編集長・発行人を上岡巧、アートディレクションとデザインをリ・モハンが担当。アジア各地で撮影された写真のみで構成される本誌は、号を重ねるごとに多様なアジアのイメージを蓄積し、視覚的アーカイブとしての価値を育んでいくことを目指している。 IACKでは、本誌の舞台のひとつとして登場する縁から、表紙にポストカードが付属する特別版を販売。エジェ・ギョカルプによるカバー。 - Title: asia issue 01Artist: Martin Parr / Jungjin Lee / Farah Al Qasimi / Alec Soth / Nigel Shafran / Xiaopeng Yuan / Sarker Protick / Ryu Ika / Ece Gökalp / Yukihito KonoPublisher: asia publication, 2025Editor: Ko UeokaArt direction / design:...
asia issue 01 (Cover by Alec Soth)
¥6,600
アジアをテーマにしたフランスの写真誌「asia」の創刊号。 本誌は、アジアという広大で多様な大地を舞台に、そこに生きる人々の視点と、旅人や移住者のまなざしを交差させながら、アジアのイメージを多層的に描き出すことを目指し、年に一度刊行される。 創刊号には、世界各地で活躍する10名の写真家が参加。マーティン・パーは30年以上にわたるインド滞在を通して、日常と祝祭が入り混じる風景をユーモラスに捉え、ジョンジン・リーは韓国・済州島の自然を墨のようなトーンで描写する。ファラ・アル・カシミはドバイの巨大ショッピングモール「Dragon Mart」を舞台に、グローバリゼーションと消費社会を軽やかに表現。アレック・ソスは北海道を舞台に、言語がうまく通じない女性との7日間の旅を記録した未発表作品を32ページにわたり再構成し、ナイジェル・シャフランは香港と深圳の何気ない日常を淡々と写し出す。シャオペン・ユアンは、アジア社会における男性像を再演するユーモラスな演出を通して現代性を問いかけている。 さらに、バングラデシュのサーカー・プロティックは、発展と痛みのはざまで変化するベンガル地方を長期的に記録し、パリを拠点とするリュウ・イカは、内モンゴルを舞台に母と子の記憶をめぐる幻想的なイメージを重ねる。トルコのエジェ・ギョカルプは、採掘によって変容するラトモス山地をリサーチし、忘れられつつある自然と文明の関係を問い直す。そして金沢の写真家・河野幸人は、自身の書店兼ギャラリー「IACK」の日常を撮影し、本号の最後を飾っている。 編集長・発行人を上岡巧、アートディレクションとデザインをリ・モハンが担当。アジア各地で撮影された写真のみで構成される本誌は、号を重ねるごとに多様なアジアのイメージを蓄積し、視覚的アーカイブとしての価値を育んでいくことを目指している。 IACKでは、本誌の舞台のひとつとして登場する縁から、表紙にポストカードが付属する特別版を販売。アレック・ソスによるカバー。 - Title: asia issue 01Artist: Martin Parr / Jungjin Lee / Farah Al Qasimi / Alec Soth / Nigel Shafran / Xiaopeng Yuan / Sarker Protick / Ryu Ika / Ece Gökalp / 河野幸人 (Yukihito Kono)Publisher: asia publication, 2025Editor: Ko UeokaArt direction /...
久しぶりの更新となります。現在店頭ではプリント付き特装本フェアを開催中です。6千円から10万円ほどの価格帯の特装本を展示販売しておりますが、普段作品集を中心に販売していることもあり、そもそもプリントの相場がわからないというお声も少なからずいただいております。そこで今回の記事では、写真作品の価値はどのような基準で決まるのか、そして10万円の特装版は高いのかを考えてみようと思います。結論を先に述べますと、10万円のプリント付き作品集は安くはないけれど高くもありません。もう少し具体的に言い換えると、「一般的な感覚として10万円は安い買い物ではないが、作品の価値を複合的に考慮すると高くない場合もある」となります。前者についてはこれ以上説明するまでもないと思いますので、今回は後者について、作品の価値や値段がどのように決まるかを駆け足で解説します。 【写真の価値】 写真は絵画や彫刻とは異なり、ネガやデータからいくらでも複製可能な性質を持っています。そこで、他の芸術ジャンルと同等のオリジナル性を作品にもたらすために採用されるのが「エディション制」です。エディションとは、作品を事前に約束した数だけ制作しますよ、という取り決めです。そうすることで作品の信用性と希少価値を担保しています。写真作品の場合は大体3部から5部のエディションが一般的で、多くて10部ほどです。生産数が希少性を担保し価値を決定づけるので、数が少なければ少ないほど値段は上がり、多ければ多いほど値段は下がります。加えて重要になるのが作家の評価や知名度であり、それを踏まえて最終的な価値が決まります。他の物事と同じく、需要と供給のバランスで作品の価格は変動しているのです。(他にもプリントの年代や技法やサイズなど、さまざまな基準がありますが端折っています) Framed print from "The Well Special Edition" by Nigel Shafran今回のフェアで特集するのは、通常版の作品集に加えて部数限定でされたプリント付きの特別版作品集です。その価値を見極めるためには、先ほどの指標とあわせて以下の4点を判断基準にしてみるといいと思います。①発行部数/エディションはどのくらいの数か②プリントのクオリティは高く、作家自体がプリントを監修しているか(サイズや制作技法を含む)③サインやナンバリングが記入されているか④通常盤や特装版はまだ市場で入手可能か以上を踏まえて、今回展示しているマーク・シュタインメッツのプリント付き特装本の価値を検証してみましょう。【マーク・シュタインメッツの特装本の価値】 "Past K-Ville" Special Edition by Mark Steinmetzアメリカ人写真家のマーク・シュタインメッツは1961年生まれ、イェール大学で写真を学びました。ストリート・フォトグラフィーの巨匠、ギャリー・ウィノグラウンドの運転手として一年間行動を共にしたエピソードもある、超正統派アメリカ写真の写真家です。これまでに美術館での個展やグループ展を多数開催しており、彼の作品はさまざまな施設にコレクションとして収蔵されています。また大手出版社から独立形出版社まで、現在進行形で多数写真集も出版しています。作品の価格については公開されていないので不明ですが、おそらくかなりいい値段がするものと推測されます。では、今回出展している特装版をみていきます。①発行部数/エディションはどのくらいの数か発行部数は50部限定。シュタインメッツはこれまでに500部限定のプリント付き作品集も出版していたりもするので、50部は特装版としてかなり少ない部類になります。そもそも世界中で50人のみが所有できると考えるとかなり少なく貴重ではないでしょうか。②プリントのクオリティは高く、作家自体がプリントを監修しているか出版社のウェブサイトをみると、手焼きではないものの、信頼のおけるプリンターが制作した高品質なプリントであることがわかります。サイズは230 x 162 mmで、悪くないサイズです。③サインやナンバリングが記入されているかそれぞれにサインとシリアルナンバーが入っています。④通常盤や特装版はまだ市場で入手可能か本作は通常盤も特装版もすでに絶版となっており、通常盤は版元で約8万円、また20万円以上の値付けをしている場所もあります。特装版はどこにも売っていません。この時点で額装付きのプリントと本がセットで10万円は破格の値段だとお分かりいただけると思います。プリントは実質1、2万円です。おそらくもっと値段を上げてもそのうち売れるでしょう。情報をまとめてみます。・この作家はアメリカ写真史に則った大御所作家である・普段のプリントはおそらく倍以上の価格で取引されている・発行部数は少ない方で、価値も高い・高品質なプリントで、サイズも良い・作家によるサインとナンバリングが入っている・通常盤、特装版ともに既に絶版かつプレミアがついているこのように、本作の価格として10万円は決して高くないことがわかりました。他の作品集についても同様に検証すると同じような結果になるかと思います。 Framed print from"Past K-Ville" Special Edition by Mark Steinmetz店主も普段10万円の作品を軽々と買うかと言われたら、そのようなことはありません。しかし、プリント付き特装本は、憧れの作家の作品を作品集とセットで手頃に購入できるチャンスであり、また、初めての作品購入としてもまたとない機会であることは確かです。何より、作品集も良いですが、飾ることで空間そのものにインパクトを与えるプリントもまた良いものです。展示は今月30日まで。メールでも通販対応を承りますのでご遠慮なくお問い合わせください。-特装本プリントフェア会期|2024年3月16日(土)、17日(日)、20日(水祝)、23日(土)、24日(日)、25日(月)、30日(土)*31日(日)は休業営業時間|11:00-14:00、15:00-18:00会場:IACK 〒920-0864 石川県金沢市高岡町18-3 入場無料問い合わせ:info (at) iack.studio詳細:https://www.iack.online/blogs/news/special-edition-prints-fair
IACK BEST SELLERS 2022|TOP 16 - 30
毎年この時期になるとその年のベストブックを選ぶのが恒例行事になっていましたが、今年は前編後編に分けてベストセラータイトルTOP30をご紹介することにしました。ラインナップからその年の傾向や時代性が垣間見えてなかなか興味深いです。年末の隙間時間にどうぞお楽しみください。 ... 30位|Fastidiosa by Jean-Marc Caimi + Valentina Piccinni (Overlapse, 2022) 一貫して高水準な読み物系写真集を制作しているロンドンの独立系出版社「Overlapse」より、写真家デュオ「Jean-Marc Caimi + Valentina Piccinni」による作品集。南イタリアのオリーブ園を中心に大きな被害をもたらしている樹病と農家たちを記録した作品で、この手の作品にしては珍しく作家性の強い写真から構成されています。マットな紙の質感も作品世界とマッチしていい感じです。https://www.iack.online/products/fastidiosa-by-jean-marc-caimi-valentina-piccinni?_pos=1&_sid=b1b4ac9fe&_ss=r ... 29位|Seiichi Furuya: Why Dresden - Photographs 1984/85 & 2015 (Spector Books, 2017) 日本人写真家、古屋誠一が家族とドレスデンに滞在していた際に撮影していた写真から構成された作品集。作家が自分は一切関与しないと言う条件を提示した上で制作された異色の作品集ですが、記録性、社会性、そして撮影者との切り離せない結びつきという、一枚の写真が持つ多面性を大いに感じさせる興味深い一冊になっています。 https://www.iack.online/products/why-dresden-photographs-1984-85-2015-by-seiichi-furuya?_pos=1&_sid=0697a42dc&_ss=r ... 28位|The Eyes That Fix You in a Formulated Phrase by Mariken Kramer (Multipress, 2018) オスロを拠点に活動するアーティスト、マリケン・クラメによる作品集。IACKのオープン当初から入荷している定番作です。300部限定なのでいつ絶版になってもおかしくないですが、仕入れることができる限りは入れていこうと思っています。お早めにどうぞ。https://www.iack.online/products/signed-the-eyes-that-fix-you-in-a-formulated-phrase-by-mariken-kramer?_pos=1&_sid=f164ecbfb&_ss=r ... 27位|Shame...
Frieze Art Fair - Yearbook 2003-4
¥4,620
2003年10月17日から20日にかけてロンドンで開催された第一回「Frieze Art Fair」の公式カタログ。「Frieze Art Fair」は現代美術誌「frieze」の創刊者であるアマンダ・シャープ(Amanda Sharp)とマシュー・スロトヴァー(Matthew Slotover)が2003年に立ち上げたアートフェアである。アートフェアの性質上作品の販売を目的としているが、8割以上の来場者は作品を観賞するために来場していると言われている。第一回目となる2003年には124のギャラリーが参加、延べ27700人が来場した。-Title: Then things went quietArtist: VariousFrieze, 2003Softcover with flaps, perfect binding193 x 141 x 23 mm480 pagesText in EnglishFirst editionISBN: 978-0952741442¥4,620 -Condition: Good/経年並のキズヤケスレ。
(Summer Sale) Frieze Art Fair - Yearbook 2003-4
¥3,230 ¥4,620
2003年10月17日から20日にかけてロンドンで開催された第一回「Frieze Art Fair」の公式カタログ。 「Frieze Art Fair」は現代美術誌「frieze」の創刊者であるアマンダ・シャープ(Amanda Sharp)とマシュー・スロトヴァー(Matthew Slotover)が2003年に立ち上げたアートフェアである。アートフェアの性質上作品の販売を目的としているが、8割以上の来場者は作品を観賞するために来場していると言われている。第一回目となる2003年には124のギャラリーが参加、延べ27700人が来場した。 - Title: Then things went quietArtist: VariousPublisher: Frieze, 2003Format: Softcover with flaps, perfect bindingSize: 193 × 141 × 23 mmPages: 480Language: EnglishEdition: First editionISBN: 978-0952741442 Condition: Good/経年並のキズヤケスレ。
正しさの凡庸を超えて
──ダニエル・シェア『Distribution』
Daniel Shea, "Distribution", book cover 2014年に出版された写真集『BLISNER, IL』以降、ダニエル・シェアの作品には継続的に触れてきた。 本作はモノグラフとしては6年ぶりとなる新作にあたり、今回初めてイギリスの出版社「MACK」とコラボレーションを行っている。2010年代に都市をテーマにした写真表現に新たな地平をもたらした写真家と、同じく2010年代に現代写真集の普及と盛り上がりに大きく貢献してきた出版社との協働である。ある意味、時代を総括するような共演にも感じられる。 期待を胸に本書を読み終えて、まず浮かんだのは素直な賞賛の気持ちだった。完璧主義の構成力は健在であり、この分量の本を破綻なくまとめ上げる手腕は見事である。だが同時に、あまりにも巧妙で正しすぎる、優等生すぎる作品だという感覚も覚えた。 どういうことか。本書はまるで教科書のように、本という形態で写真を見せるために培われてきた文法と技術にとことん忠実である。シークエンスとレイアウトはもちろん、写真そのものの物質性や歴史への言及まで、余すことなく行われている。模範解答のように、あまりにもスムーズで完璧すぎるのである。 Spread from "Distribution" 手法のみならず、テーマや被写体に関しても、これまでのシェアの作品から劇的に変化しているわけではない。自然への関心の比重が増したとはいえ、2018年に出版され、高い評価を得た写真集『43–35 10TH STREET』と大部分を共有している。さらに遡れば、『BLISNER, IL』と同じモチーフが続いているとも言える。一貫性があるのは素晴らしいことだが、立派な装丁も相まって、完璧すぎるが故の物足りなさを抑えきれないまま、最初の軽い鑑賞を終えた。 だが、そのスムーズさが、どこか頭の中で引っかかるのである。 以前にも、同様の感覚を覚えたことがある。同じくMACKから2014年に出版されたナイジェル・シャフランの写真集『Dark Rooms』だ。この本も最初は特別な感情を抱かなかったが、どこか違和感のようなものが残り、何度か見返していく中で、既存のフォーマットを踏襲しながらもアップデートを試みる、内部に革新的な構造を抱えた一冊であることに、後から気づかされたのだ。 緻密に計算された作品は、読者の無意識に働きかける。この本も、同じような一冊なのかもしれない。漠然とそんな予感を抱いた。 そこでもう一度、今度はより冷静に、分析を行うように、一ページごとにゆっくりと見ていくことにした。 「森を撮る」とはどういうことか 本作の制作は、コロナ禍中にシェアが森の写真撮影を試みたことをきっかけにスタートした。しかしいざ森を前にして彼は、人間の思考が及ばないようなその存在を、うまく撮影することができなかったという。そして、「森を撮るとはどういうことか?」という漠然とした疑問を抱くようになる。 物事の紙片を切り取り、それらを紡いでいく写真という表現は、常に断片的であり、一度に全体を語ることは困難である。 そこでシェアは、「木を見て森を見ず」という古い諺を逆転させるようなアプローチ、すなわち不完全さを徹底することで、逆説的に全体像を立ち上がらせる方法を実験的に試み始めた。望遠レンズを用いて撮影するだけでなく、車窓からのみ撮影するという制約を自らに課すなど、特定の条件下で生まれてくるものに可能性を見出しながら、自然と都市の姿を見つめ直していった。 最もアメリカ人らしい女性、ジェシカ “Jessica” series, opening section of "Distribution" 本書はまず、アメリカ人の統計的中央値──所得、年齢、職種の観点から最も平均的なアメリカ人像──を体現する女性、ジェシカのポートレートで幕を開ける。そこでは起床から出社、余暇を過ごす女性の日常が、スナップショットの手法で写しだされている。 だが、これらの写真は、その手法がもたらす親密さゆえに、どこか不気味さも伴っている。一体誰が、いつ、何の目的で撮影したのか。親密さの所在はどこにあるのか。極めて巧妙な生成画像のような印象すら与える。 そしてこの不可解さを引きずったまま序章を終えると、タイトルコールを経て、これから始まる未知の探究へと読者を誘う入り口のような、暗いモノクロ写真が現れ、いよいよ本編が始まる。 写真集の文法と完成度の臨界点 本書は大きく分けて、ジェシカのパートによる序章、導入となる第一章、グリッド構造の第二章、都市の居住者と細部に分け入る第三章、そして作家キャサリン・レイシーによる小説から構成されている。 第一章では、再撮影されたシェアの額装作品、レンガの壁を背景にした写真、都市や森林の風景、工事現場作業員のクローズアップなどが、入れ子構造で目まぐるしく展開していく。ここでは、本書でこれから探究する要素が提示されると同時に、写真がイメージ、画像、印刷物、さらにはインクなど、さまざまな要素へと分解・変容していくさまが示される。 本書をめくりながらその例を見ていこう。最初のページに額装作品の複写がレイアウトされた後、ページをめくると左手にはレンガと植物を写した額装作品の複写、右手には木の写真が配置される。さらにページをめくると左側には空白、右側には森で撮影されたであろう木の写真が置かれ、その次のページの左手では横位置の草原の写真が縦に配置され、右手には前ページのカット違いと思われる木の写真が現れる。続いて、人工物であるビルの写真と森の写真、植栽を施した建物の写真などが現れる。このようにモチーフは変われど、本書には一貫してリズムと連続性が存在している。 Framed vegetation and a photograph of a tree こうした構成手法と視覚的・記号的要素を組み合わせた技術こそが、写真集における「シークエンス」である。ウォーカー・エヴァンスやロバート・フランクなど、写真家たちは、本というフォーマット上で写真を視覚言語的に見せるための技法としてシークエンスを探究してきた。その基本を徹底した編集によって、2010年以降に数々の名作を生み出してきた出版社こそがMACKであり、この時点で両者のコラボレーションの相性の良さが見て取れる。 シェアはこの技法を踏まえたうえで、文法をより複雑化する。写真は必ずしも横並びで似たモチーフが呼応しているだけでも、ページを跨いで対を成しているだけでもない。本書では写真が、画像、イメージ、オリジナル、複製といった異なる次元で呼応し合い、シークエンスを生み出しながら全体を通して展開していく。そして鑑賞者は、写真とは何か、イメージとは何か、そして今見ているものは何かという、視覚言語の迷宮へと引きずり込まれる。...
¥0
イギリス人写真家、ナイジェル・シャフランによる作品集。 ナイジェル・シャフランは写真家としてキャリアをスタートする前から、アイディアを書き留めたり写真を貼り付けるノート「ワークブック」を日常的に制作してきた。1984年から2024年までの間に収集し、想像し、スケッチし、記録してきたワークブックを通して、本書はシャフランの人生と作品世界を紹介する。一般的にこのようなノートはあくまで作品にいたるまでの過程として捉えられるが、本書を眺めていると、各々の作品は完全に独立したものではなく、すべてが過程の中にあることをはっきりと感じさせる。リンダ・ファン・ドゥールセンによる遊び心のあるデザインは、本書を「ファンブック」ではなく、初めてシャフランの作品を目にする読者にも魅力が伝わるような一冊へと昇華させている。 - Title: WorkbooksArtist: Nigel ShafranLoose Joints, 2024Softcover with a bookmark, Section-sewn 170 x 230 mm512 pagesText in EnglishFirst editionISBN: 978-1-912719-53-2¥11,000 -ナイジェル・シャフランアーカイブはこちらhttps://www.iack.online/collections/nigel-shafran-archives作家インタビュー「Artist Interview: Nigel Shafran」https://www.iack.online/pages/artist-interview-nigel-shafran-photographer