至るところで 心を集めよ 立っていよ by Yoshiko Seino
日本人写真家、清野賀子の作品集。
清野は東京で編集者として活動していたが、95年頃より写真家としての活動を開始。青山のコム・デ・ギャルソン本店や銀座のギャラリー小柳で個展を開催し、次第に話題の写真家の一人に。本書は2009年に出版された作家の2作目となる作品集であり、同年に自ら命を絶ったことにより遺作となった一冊である。植物、庭、工事現場、人物、ビル、裏道、そして執拗に繰り返される椰子のイメージ。写真は全て35mmカメラで撮影されており、どれも単にスナップショットとは言い切れないような不思議な距離感と空気を纏っている。
「もう『希望』を消費するだけの写真は成立しない。細い通路を見出して行く作業。写真の意味があるとすれば、『通路』みたいなものを作ることができたときだ。『通路』のようなものが開かれ、その先にあるものは見る人が決める。あるいは、閉じているのではなく、開かれているということ(中略)それでもあきらめず、『通路』を見出し続けることが大切。いや、大切とすら本当は思っていない」清野は本書のあとがきで写真について、希望と通路という言葉を用いてこのように記している。言葉の人間であった作者が、写真という装置を通して世界と対峙する方法を模索した、その痕跡を辿るような一冊である。
タイトルはドイツの詩人、パウル・ツェランの晩年の詩からとられている。
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Title: 至るところで 心を集めよ 立っていよ
Artist: 清野賀子
Osiris, 2009
Hardcover, 173 × 259 mm
72 pages
First edition
¥12,800 + tax
Condition: Good, bumped on the corner。経年並。上部右角潰れ、ヤケ。本紙の凹みはございません。
*古書の状態について
Mint: 新品未開封
Very Good: 非常に良い
Good: 古書として一般的なコンディション。経年変化による多少の傷や汚れあり。
Acceptable: 特記すべき破れや汚れがあります。一度読んでみたい方向け。