Solastalgia by Marina Vitaglione
フランス人写真家、マリナ・ヴィタグリオーニによる作品集。
ヴェネツィアの繊細な地盤は差潮、地盤沈下、そして汚染など、この広く愛される街に脅威を与える取り返しのつかない変化の影響を受け、徐々に浸食されている。アドリア海水に浸されて劣化したフィルムから生成されたイメージと共に、この写真/文・ドキュフィクション(ドキュメンタリー&フィクション)は、この水の都が消滅する姿をありのままに厳しく記録する物語を紐解き始める。
創作的な物語と詩的な写真を組み合わせることで、『Solastalgia』はヴェネツィアを形成する118の島々からなる多島海に影響をもたらし、日々深刻となる環境問題に光を当てる。ヴェネツィアは世界遺産に登録されている街であり、また地球温暖化の脅威に最も晒されているヨーロッパの街でもある。建造物や繊細な地盤は海水面の上昇や地盤沈下、頻繁な満潮、そしてやたらと大きなクルーズ船が引き起こす海洋汚染によって徐々に浸食されている。過去100年で水位は30センチ近く上昇、2016年のユネスコ世界遺産委員会では「一刻を争う事態である」と懸念された。居住者によって荒らされ、徐々に世に忘れ去られようとしているヴェネツィアの声で書かれたこの感情的な作品集は、ヴェネツィアのかつての雄大さを呼び起こし、同時に刻一刻と悪化する状況の行く末を思索させる。本書に収録されているイメージは街を活発に侵食し、飲み込んでいくアドリア海の海水に数週間つけ置きされたネガフィルムから生成されている。
*「Solastalgia」とは、家にいるにも関わらず環境が変わることにより生じるホームシックを指す。
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Title: Solastalgia
Artist: Marina Vitaglione
Overlapse, 2017
Hardcover, Section‐sewn and quarter-bound
240 x 170 mm, 84 pages
First Edition
ISBN: 9780994791924
¥4,700 + tax